検索窓
今日:3 hit、昨日:17 hit、合計:66,691 hit

二十輪 ページ22

「あ……」


思わず振り返ると、そこにはそーくんがいた。


「っ、そーくん」

「テメェ、姉上とソイツ会わせるつもりだろィ」

「っ」


否定ができなくて、思わず私は黙ってしまう。


「駄目に決まってんだろィ?」


そう言いながら近づいてくるそーくんに、私は思わず訊く。

「っ、どうして……」

「どうしても何もねェだろ?」


そう言って私の前に立ったそーくんを、私は見上げる。
たった数年で、男の子はこんなに変わるんだ、と少し感心していると、そーくんは言った。


「じゃあ逆に訊くがねィ

……姉上のこと突っぱねた野郎を、今の姉上にどうして会わせられるんでィ」


「それは……っ」

十にぃの優しさでしょう?と言いかけた私の言葉を、十にぃが遮る。


「俺ァもう帰るぞ」

「っ、待って、十に……」

「A」


慌てて十にぃの後を追いかけようとした私の腕を、そーくんは掴む。


「っ、そーくん」


力では絶対に敵わないと分かっていたから、視線で訴えてみたけれど、そーくんは腕を掴む力を緩めてはくれなかった。

私は成す術もなく遠ざかっていく十にぃの背中を見つめていた。









十にぃの背中が完全に見えなくなると、そーくんは私の腕を解放した。

今から追いかけても良かったけれど、そんなことしようものならまたそーくんに拘束されかねないので、仕方がなく断念する。
それに、きっとこんな時間に蔵馬さんは私を外に出してはくれないだろう。


「じゃあ、俺も帰るとするかねィ」

姉上に会ってから、と呟いたそーくんは私の横をすり抜け、ミツバ姉のいる部屋に入っていった。
そして、ピタリと襖を締め切ってしまう。



そーくんの背中を見送ってからふと視線に気づき、私は視線を戻す。

すると、銀髪の人が私のことをじいっと見つめていた。


「……えっ、と……?」


私の顔に何か付いているのかと慌てて顔をペタペタ触るも、特に何が付いているわけでもなさそうだった。



「……お宅、色々複雑みたいだねェ」

「……え」


銀髪の人はやる気のなさそうな声でそう呟くと、くぁ、と欠伸をした。


その言葉の真意を図りかねて何も言えない私と対照的に、その人は欠伸を噛み殺しながら言った。


「じゃあ、俺も帰るとするかねェ」

その時、丁度そーくんがミツバ姉の部屋から出てきて、その人に言った。


「じゃあ、俺はこれで。
旦那、今日はありがとうごぜェやした」

二十一輪→←十九輪



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (25 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
47人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 真選組   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あや(プロフ) - 赤羽@美羽さん» 受験お疲れ様でした! (2019年3月1日 0時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)
赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» ありがとうございます!受験が終わりましたので、どんどん更新していきたいと思います! (2019年2月28日 19時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 赤羽@美羽さん» お忙しい中更新ありがとうございます!受験頑張ってください!これからも楽しく読ませていただきます。 (2019年2月11日 19時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)
赤羽@美羽(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!もうすぐで受験が終わるので、そうしたらもっとテンポよく更新できるようになると思います!これからも読んでいただけると嬉しいです! (2019年2月11日 16時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 初めまして。沖田さんが好きで読ませていただいています。更新ありがとうございます。ミツバ篇好きな話なので、これから主人公ちゃんもどうなるか楽しみです! (2019年2月10日 12時) (レス) id: a0e0346a06 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:赤羽@美羽 | 作成日時:2018年11月18日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。