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＊小夜左文字サイド＊
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「私は、…右足がうまく動かないんです。膝から下は特に。小さい頃に事故に遭いまして…。」
そう言って、女の人は薄く笑った。
全て合点がいく。
動きが妙に遅いのも、走っているところを見たことがないことも。
「…小夜左文字様。どうかこの事は秘密にしておいていただけませんか？」
小夜「………？どうして？皆が知った方が気遣ってくれるよ。」
「……私はこの足のせいで幾度となく仕事をクビになりました。確かに気を遣ってくれて優しい人はいます。でも、私にとって優しさより、今はお金が必要なんです。追い出されたくは、ないのです。」
小夜「金…？なんで…？足を治すため？」
そういうと女の人はキョトンとしてそれからすぐに笑った。
「いいえ、もう足は治らないと医者にも言われてしまいましたから…。
私、借金があるのです。父が残した莫大な借金が。
父を責めてはいません、支えてあげられなかった私にも責任はあります。」
小夜「…お金を返すためにここにいるってこと？」
「そうですよ。」
鶴丸が先日、皆の前で彼女から聞いたということを話していた。
あの女は金目当てだと自分から言った、いつもの審神者と同じような奴だ。皆気をつけろ、と。
「小夜左文字様、お願いです、今話した事は誰にも言わないでください。」
頭を畳に擦り付け彼女が言った。
小夜「…分かった。約束する。」
「……ありがとうございます。」
彼女は嬉しそうに笑った。
「では、指切りしましょう。」
小指と小指が絡めあって彼女が鈴のような音色で指切りを終えた。
何人かの刀剣に心ないことを言われようと、邪険に扱われようと、彼女は決して不満を漏らすことも泣くこともなかった。
江雪兄様も、宗三兄様も、あの女には近づくなと言っていたが興味があった。
今までの者とは違う、その優しく澄んだ目に惹かれた。
小夜「…じゃあその代わり……、僕とお話しして欲しい。」
「お話し…？何かあったのですか？」
小夜「…違くて……その………。ただ、話したいだけ。」
彼女はぽかんとしてからやっと理解したようで、微笑んできた。
「えぇ、もちろんです。」
初夏の風がサラッと頬を撫でた。
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＊小夜左文字サイド…end＊
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オーキッド(プロフ) - 輝さん» コメントありがとうございます。もちろん乱は男ですが姉さんと呼ぶ方が乱は喜ぶという設定です。あまり気づいてくださる方がいないのでこのようなコメントは嬉しいです。ありがとうございます。 (2018年7月23日 9時) (
レス) id: 500cf8b735 (このIDを非表示/違反報告)
輝(プロフ) - 31話で五虎退が乱を"乱姉"と呼んでいましたが乱は男なので乱兄では？ (2018年7月11日 13時) (レス) id: 7ffc6db072 (このIDを非表示/違反報告)
オーキッド(プロフ) - はにーまかろんさん» はにーまかろん様、いつもコメントありがとうございます。刀剣達はまだ全面的に主人公が好きという感情を表に出したくないので刀剣:不器用かつ意地悪vs主人公:気弱、な争い(?)が起こっていく感じですね。これからも宜しくお願いします。 (2016年6月26日 18時) (レス) id: ac6634c0b5 (このIDを非表示/違反報告)
はにーまかろん(プロフ) - 天下五剣の冷笑は暑い夏にぴったりですね！とまあ冗談はさておき、最新話読ませていただきました。お、これは主人公ちゃんへの独占欲が出ているのか！？刀剣男士の反応の意味を１人１人想像しながら楽しく読んでいます。長文＆乱文失礼致しました。 (2016年6月26日 18時) (レス) id: 578cdfafe4 (このIDを非表示/違反報告)
オーキッド(プロフ) - (aya*)W.H)さん» ありがとうございます。どちらのシリーズでも少し重い話が入ります。これからもよろしくお願い致します。 (2016年6月15日 7時) (レス) id: ac6634c0b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：オーキッド
| 作成日時：2016年5月26日 6時
