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「つ、ついた………。」
男を肩に担いでどうにか住所として登録されていたマンションの一室までたどり着いた。
好意でここまで一緒に肩を支えてくれたタクシードライバーには感謝しかない。
「すみませんこんなことまでさせてしまって…。」
ドライバー「あぁいえ、よくありますから。」
「こ、これ、受け取ってください。」
鞄から封筒を取り出し、その中から10000円を手渡した。
ドライバー「お、多すぎます!今お釣りを…、」
「結構です。ご迷惑おかけしましたから…。ありがとうございました。」
ドライバーがそれではいただきます、と言って去っていく。
男の鞄から鍵を取り出し、部屋に入り込んだ。
「お邪魔しま、す、っと。」
どさりと2人分の荷物を置き奥へ進む。寝ている大の男を1人で抱えるのはこんなにも辛いものなのかと実感する。
とりあえず見つけたベッドに男を横たわらせる。
ふと見ず知らずの人にここまでして良いものか、とも思えた。だが顔を上げた時のひどい隈と青白い顔をみるとどうしても放って置けなかった。
「…これでいいかな。」
置き手紙を残していそいそと部屋を出て鍵をかける。
ほうっと息をつくとどっと疲れが出てきた。
「………今日もコンビニご飯でいいや…。」
汗の滲んだ額をぬぐい、再びAは帰路に着いた。
___________________________………
?「ん………んん……?」
カーテンの隙間から差し込む朝日に目を顰めて男は目を覚ました。
確か昨日は上司の飲みに付き合わされて三件ハシゴした、ところまでは覚えている。
?「おーーーい、どっぽーーー!朝飯できたぞーー!」
同居人の馬鹿でかい声が眠気の残る頭に響く。
独歩「……おれスーツのまま……って…なんだこれ。」
ベッドの脇のテーブルに一枚の紙があった。
なんとなく花のような匂いもする。
『泥酔していたようだったので余計なお世話かもしれませんが送らせていただきました。鍵はポストに入れておきます。』
綺麗な字でそう書かれた紙を5度ほど見返す。
独歩「…………は………?」
?「独歩ってば!なにしてんの!!」
同居人の一二三がバタンと扉をあけ顔をのぞかせる。
独歩「………俺は………昨日……、ああああああ……。」
一二三「ちょ、独歩?!!」
罪悪感と羞恥心で汗だくになった体を丸めて観音坂独歩は再びタオルケットに潜り込んだ。
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千(プロフ) - オーキッドさんなりのこだわりが感じられ中々定まらないのはそれだけオーキッドさんの小説への思いからだと思います。生意気な事書いてすみません。でもそれだけ大切なんだと私は思いました。感想だけで申し訳ありません (2019年5月20日 21時) (レス) id: aa8fcb4cab (このIDを非表示/違反報告)
千(プロフ) - こちらこそ温かいコメントありがとうございます。無理せず更新頑張って下さい。楽しみにしてます。又こちらこそよろしくお願いします。夜遅くに失礼致しました (2019年5月19日 23時) (レス) id: aa8fcb4cab (このIDを非表示/違反報告)
オーキッド(プロフ) - 千さん» コメントありがとうございます、お優しい言葉かけに感謝いたします。これからもよろしくお願いいたします。 (2019年5月7日 15時) (レス) id: 500cf8b735 (このIDを非表示/違反報告)
千(プロフ) - この後凄く気になります。楽しみしています。無理しないでくださいね。更新楽しみに待ってます。 (2019年5月6日 23時) (レス) id: aa8fcb4cab (このIDを非表示/違反報告)
オーキッド(プロフ) - 夜桜 奏さん» コメントありがとうございます。素敵なお話だなんて嬉しいお言葉、感謝いたします。これからもよろしくお願いいたします。 (2019年5月6日 23時) (レス) id: 500cf8b735 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:オーキッド | 作成日時:2018年12月2日 23時