#1【讃談】 ページ4
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「___聞いたか? ソルガレス砦の話!」
「ああ…一夜で瓦礫の山になったそうだな…」
〈強欲の罪〉の見張り番の2人が噂話を興じているようだ。私が近付いている事にも気付かずに…これでは見張りの意味がない
少々苛立ちを感じたが、もしかしたら“彼ら”の手掛かりになるかも、ともう少しだけ黙って聴いている事にした
「_どうやら その犯人、あの〈七つの大罪〉の団長らしいぜ」
「ッッッ、それ、本当なの!!?」
ずっと待ち望んでいた名前を聴き、私は思わず飛び出した
見張り番達は私を見留め、情けなく狼狽している。本当に、見張りの意味がない奴らだ
だけど、今はどうでも良い
「ねえ。聴いている?」
「ッは、はいッ!!! A様!!」
「聴いているのなら…いえ、そんな事は今はいいの
…それよりも“彼ら”が…〈七つの大罪〉が生きているって、本当なの?」
私は高ぶる気持ちを鎮めて、再度問う。本当なら今すぐにでも、会いに行きたい。大した理由ではない。私は彼らを知っている、そして彼らも私を知っている
知り合いである彼らが本当に王国転覆を謀ったのか、その真理を知りたいだけだ
彼らと過ごした日々は実に素晴らしかった、今よりもずっと
__嗚呼、思い出したらまた気持ちが高ぶってきた。喉が酷く渇く
「…ねえ、どうなの」
「え、ええと…詳しくは分からないのですが……〈七つの大罪〉が再び動き出したようです
…もしかすると〈強欲の罪〉を救い出しに、此処に向かっているかもしれないと………」
「彼らが、此処に……そう、ありがとう」
「まあ 噂半分ですけどね……それに…危険を冒してまで救う価値がこいつに__」
其処で私は、見張り番の言葉を聴くのを止めた
まだ何か言っていた様だが、別に興味は湧かない。彼らの見解に価値があるとは思えなかった
私は静かに扉を開いた
何時もの様に“彼”は其処に存在していた
「……♪ ………♪」
「…さっきの話、聴いていたみたいね………、バン」
如何にも上機嫌そうな彼に、こんなに醜い口枷は似合わない
そう思った私は、深く打ち付けられていた鉄杭を引き抜いた
「よ〜うA〜♬ 聴いてたか〜? さっきの話♬」
「…彼らに逢える日、そう遠くないみたい」
「じゃあ…此処は とっとと おさらばだな〜♬」
いつの間にか四肢の鉄杭を抜いていて、バンは牢獄の扉を蹴破った
「___あ〜……久々の散歩はいいね〜…」
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作者名:*てぃあ* | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kariya652/
作成日時:2015年3月25日 12時