【七つの大罪】繰り返される邂逅、一縷の願い。【落ち未定】 (ページ3)

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＃０【追憶】ページ3

“Destiny”
その言葉は、“運命”とやらを指し示す言葉らしい

なんて残酷な言葉なのだろう

私は、思った

私のこれまでの、長い永い時間がその“運命”だとするのなら、
神様というのはとんだサディストなのだろう、と

別に自分自身を不幸だ、悲惨だ、と慰めるつもりはない

しかし、私のあの時間を形容するには、それ以外の言葉など見つからなかった

気付いた時には、いつの間にかあのホルマリンの香りが充満する部屋に居た
知らないオトナ達に囲まれて。私は終末の視えない時間を過ごした

眼を開けば一面の赤、赤、アカ。赤という色はどのような色だったのか、それすら分からなくなるような光景。いくら耳を閉じても聴こえる、誰かの絶叫。怒号。嗚咽。重なりすぎた悲鳴合唱は、『雑音』と化すほどのものだった

“実験”と称して行われる、麻酔なしの臓器摘出。解剖。五体満足で終える日なんて、数える程だろう。いや、もしかすると無かったのかもしれない

しかし、私の身体は足りなくなる度に元通りになる

その異常な生命力は、私を生かすと同時に「私は化け物である」という事を自覚させた

「…あﾞ、ぅッ……ぅ…どう、し…て……」

今思えば、無意味な疑問だった

考えれば、答えは解かる。だけどその時の私は、考えるという思考も答えを生み出すボキャブラリーも持ち合わせていなかった

それから暫くして、ようやく転機は訪れた

私と同じ部屋に新しい人間がやって来た事だ。しかも、私と同じ境遇の、男性だった

彼は言った。「嫌なら抜け出してしまえばいいだろう」と。名案だと思った。何故その発想がなかったのだろう、と自分の頭の悪さを呪った。

彼は直様実行し、直ぐに物言わぬ骸となってしまったが、私なら出来る

兵器として開発された私の、この力があれば

それから直ぐ、実行に移した

彼が言っていた通路を使った。流石に大人も学習するようで、直ぐに見つかりはしたが、問題はなかった。

人間とは、脆い

まるで枯れた花が落ちるかのように呆気無く、終わってしまった
罪悪感は不思議と生まれなかった。この力を植え付けたのは紛れもない大人達なのだから

とはいえ、それからの日々も決して幸せだと思えるものではなかった
私は、生きる術を知らなかったのだ。汚れた過去を只管隠し、更なる不浄を重ねて生きる

それが精一杯の私の『生きる』という事だったから

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