20. ページ20
10分程すると車のヘッドライトがあたしを照らした。
いつものアルファードじゃなくてロケマサが好きそうなスポーツカー。
上手い具合にあたしの前で止まって、運転席からひょいと顔を出す。
当たり前だけどすごくいつも通りの感じで安心した。
助手席に回り込むと中から扉を開けてくれる。
慣れてる様子で、手つきがスマートだった。
「ごめんねいきなり」
「いや全然っすよー」
シートベルトを閉めたのをちゃんと見計らって丁寧に発進してくれる。
さすがネクステのドライバー。
「ヒカルさんに泊めてもらわなかったんすね」
「うんまあさすがに悪いし」
「俺だったらいいって?笑」
「歳下だから甘えても許してくれるかなって笑」
夜も更けた0時半の道を夜景と共に走る。
流れる景色が走馬灯のようで、これが俗に言うエモいという現象なのかと。
綺麗で、感傷的になりたくなる。
言ってしまおうかと思った。
あのね、と言ってしまえばいつでも今さっきまでの出来事をぶちまけられる気がした。
告白とも言えなかった告白に悩んで、ロケマサにもたれかかって。
歳とか関係なくダメ女だな。
良い秘書なら、迷わずおっけーを出すんだろうか。
社長の世話と呼べることは、自分に出来ることなら何でも喜んで手を貸すのだろうか。
あたしは秘書じゃないけど似たようなポジションにいる。
ニコッと笑ってあの人の体に腕を回せば…
「美人が台無しっすよそんなしんどそうな顔してたら」
ぽん、と太ももが叩かれて良い音が鳴った。
はっと我に返ってロケマサに視線をやるとこっちは見ずに微笑みを浮かべていた。
うん。
やっぱり運転中の人にはエフェクトがかかるみたい。
「そうだよねえ、美人が台無しよね」
「いや自分で言うのはなしっす笑」
初めてと言っちゃ失礼だろうが、その勢いでロケマサがいてくれて本当によかったと思えた。
頼もしい弟だ。
143人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
яeu(プロフ) - セティさん» ありがとうございます。ものすごくモチベーションになりますm(_ _)m 頑張りますね! (2021年3月29日 21時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
セティ(プロフ) - はじめまして。続き楽しみにしていますので、無理なく更新していただけたら嬉しいです。 (2021年3月29日 15時) (レス) id: 1fbb8090be (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:яeu | 作成日時:2021年3月9日 21時