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「お隣はっ···女子風呂でございます···っ」
少しの沈黙の後、カイコクが入り口の引き戸を開け、
アンヤがパカを脱衣所に蹴り出した。
なんとも鮮やかな連携プレー。
最後に戸がピシャン、と閉められた。
そうして脱衣所に追い出されたパカ。
濡れたスーツをタオルで拭きながら、パカは嘆かわしそうに呟く。
「まったくなんという···
女湯のロマンがわからないとは···」
言いながら浴場自体から出るパカの目がある一点に吸い寄せられた。
しばらく黙ってそれを見つめていたものの、思い立ったがなんとやら、
ということなのか。
それを手にとってごそごそと何かをして今度こそ浴場から去って行った。
その後に残ったものは······
入れ替わった男湯と女湯の札だった。
―――
――――――
――――――――――――
「ったく、なにが女子風呂だよ。んなもん興味ねーし。なあ」
全員で風呂につかり、精神的に癒されながら······
とは言えない。なぜならさっきまでパカがいたから。
イライラしていることを隠そうともせずアンヤが言ったのが
さっきの台詞である。
しかしそれに対して······
「すいません、俺ちょっとあります」
「俺もー」
アカツキとカイコクは手を上げながらそう答えた。
······ちなみにザクロはいっぱいいっぱいで頭から湯気を立てている。
そんな彼にアンヤはバシャッと湯をかけた。
「つかテメーはいい加減マスク取れや。暑っ苦しい」
「やめろガキが」
イライラしていたところに油を注がれたのか
すさまじい音をたててまたもや湯をぶっかけた。
「あ!? タオルもろもろ湯船につけるのはマナー違反だろが」
「湯にはつけていない!」
反論とともに、同じく湯で応戦する。
湯かけ合戦が勃発しそうになる。
「おーい風呂で遊ぶのやめねェか」
「遊んでねーよ」
······湯を掛け合うことを遊びと言わずしてなんというのだろうか。
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作者名:花藺 | 作成日時:2017年11月8日 19時