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〈レイナside〉

ガヤガヤという喧騒。
立ち並ぶ出店。
町行く人は皆和装でお面をつけている。
というか······

「なんなんでしょうね、
 あの『肝ころがし』とか『めだますくい』って書いてあるお店は」
「知るか」

ここは、13番街和風地帯カクリヨ。
カクリヨ······幽世······
永久に変わらない神域、黄泉の国······確かそんな意味合いだったはず。
すると、先導していたパカさんが口を開いた。

「第5ステージは「鬼退治」でございます」

鬼······?

「この村では今晩カクリヨ祭という鎮魂の儀がとり行われます。
 しかし毎回その騒ぎに乗じて鬼が生娘を攫いに来るとか···」

そこでパカさんは振り返る。
相変わらず、得体の知れない表情だ。
······そもそもが被り物だけど。

「今回のクリア条件は誘拐の阻止および、
 これまで攫われた娘さんたちの奪還です。
 今晩の祭りは失敗のゆるされない一度きりのイベントでございます。
 皆様、心して臨んでください」

すると、入出君が僕たちの気持ちを代弁するように尋ねた。

「「奪還」ですか? 「退治」ではなく···」

そう、そうなのだ。
元凶はその鬼とやらなのだから、その鬼さえいなくなればすべて終わるはず。

「もちろん。
 鬼の根城をつきとめこの地から一掃できればトゥルーエンドでございます。
 しかしながら今回の鬼はチート級の強さ···
 全滅確定のタスクを背負わせるほどワタクシも鬼ではありません」

つまりどうしようもない理不尽と、そういうことらしい。
僕たちは押し黙った。
僕だけだろうか。
この沈黙に、お前も鬼だろ。
という言外の気持ちが込められているように思うのは。
まあ、いいか。
それより······

「入出君、そのお面売り物でしょう。戻してきてください」
「はいお母さん」
「誰がお母さんですか失礼な」
「漫才してる場合じゃねェんじゃないか?」
「すみません」

でも、僕の怒りはまっとうなものだと思います。
······そうですよね?
 
 
 

*→←Tenth game〔SACRIFISE〕



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作者名:花藺 | 作成日時:2017年11月8日 19時

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