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ゴロゴロと遠雷が聞こえる。
悪天候を予報している空のもと、
13番街にはカラン、コロンという音が響いていた。
節分のような鬼の仮面と和装姿。
言わずもがな、鬼ヶ崎カイコクである。
そんな彼は、街中を物色し歩き回る。

(やっぱり誰もいねェか。どっかに隠れてたりなんてこたァ···)

そこまで思考を巡らせて、
いきなり、ぼんやりと目の前の窓に映った人影に肩を揺らした。
そうして冷や汗をかきながら、ゆっくりと振り返る。

「···亡霊かい。
 お前さんその気配消して背後に立つのやめてくんな」
「そんなつもりはないが。
 
 
 ···無茶をするとまた皆に迷惑がかかる」

自分の影が映った窓ガラスに手を当てて、
何かを考え込むようにそう言った。

「···なんでえ。説教しにきたのかい?」

うっすら笑いながらザクロを見下ろす。
そして少しの沈黙が流れた。
そして、その後ろから。

「忍霧さんに鬼ヶ崎さん。
 どうしたんです? こんなところで」

レオが現れた。

「おう、霧ヶ野かい。お前さんこそ、どうしたんでェ?」
「僕はちょっと······」

言いにくそうにして、誤魔化すように笑みを浮かべる。
そんな彼を一瞬いぶかしげな目で見たあと、
カイコクはイタズラをする子供のように笑った。

「まあいいか。ちょっとお前さんも付き合いな」

そう言って番傘を握る手にグ、と力を入れる。

「なにに······ってちょっと待っ···!!」

首を傾げたレオだったが、吸い込まれるように窓ガラスに
向かっていった番傘に声を荒らげる。
そんな声も虚しく、ガラスが割れるガシャ、という音に遮られたのだが。
カイコクはなんの躊躇いもなくガラスにあいた大きな穴から建物へ侵入した。

「おい···!」
「鬼ヶ崎さん···!?」

声をかけても止まらないカイコクに、お互いどちらともなく顔を見合わせる。
そして、口から溜め息を漏らし、二人はカイコクの後に続くのだった。
 
 
 

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作者名:花藺 | 作成日時:2017年11月8日 19時

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