42.きらきら。 ページ43
『……っ、ねえ、兄さん、母さん、父さん。起きてよ。ねえ。
水族館、見に行くんじゃなかったの……！』
自分に覆われるようにして倒れる背の高い男の人。兄さんです。
トラックに挟まれて押しつぶされているのは、母さんと父さん。
辺り一面は血の海。僕にも多量の血が降り掛かっています。
──これは、事故の記憶。
……抱きつかれた衝撃でしょうか。記憶が蘇った時、僕が抱きついる情景が真っ先に浮かんだ原因は。
これを思い出すと、繋がっていくようにたくさんの思い出が出てきます。
＊＊＊
「「「A、お誕生日おめでとう！！」」」
『……っ！ ありがとう！！』
これは、友人との思い出ですね。
サプライズパーティでした。これには本当に驚かされました。
＊＊＊
『…もう、兄さんなんて知らないっ！！』
「俺だってお前なんてどーでもいいんだよ。どっかいけよ！」
兄さんとの喧嘩でしょうか。兄さんとの喧嘩は、どちらかが直ぐに謝ったので、いつも1日ともちませんでした。
＊＊＊
「……あんな若い子が喪主なんて、ねぇ」
「高校2年生になったばかりなんでしょ？」
ひそひそとおば様たちの話し声が聞こえます。葬式、でしょうか。
会話が、声が。耳にまとわりついてきます。
「…そういえば、誰でしたっけ。亡くなった人」
「さあ……？ あまり関わりが無かったものねぇ」
………ああ、僕が人に忘れられたくないのはこれが原因でした。
ネチネチと聞こえてくる嫌味ったらしい言葉。記憶からいなくなることに恐怖した瞬間でした。
＊＊＊
「……え、ねえAっ！！」
そんな声で現実の世界へ引き戻されます。スバルくんが、心配そうな目でこちらを見ています。
…ああ、彼にもたくさんお世話になりましたね。
『……どうしましたか？』
少し鼻声なのは気にしないで頂きたいです。不可抗力です。
「………、何でもないっ！！」
ぼふん、と胸に埋まります。本当に、どうしたのでしょうか。なんだか心配になります。…でも、元気になったようで何よりです。
ふと、胸にいるスバルくんから視線をあげると。
きらきら、きらきら。
幻覚でしょうか。辺り一面に星が降ったようです。スバルくんの言うキラキラは、このことなのかもしれません。
僕は周囲の嗚咽など耳に入らずに、ずっとその景色を眺めていました。
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無名(プロフ) - 何年も前の作品みたいなのでお返事は返って来ないんだろうし伝わることもないのかもしれないとは思いつつも最高の話すぎてコメントを残したい。思わず涙出るほど感動しました。いいテンポで進んで読みやすかったです。最高の作品をありがとうございます。 (2023年1月3日 8時) (
レス) @page47 id: 04d38e0bdf (このIDを非表示/違反報告)
咲耶(プロフ) - この話凄く好きです。感動しました！ (2018年10月16日 5時) (レス) id: e18275a362 (このIDを非表示/違反報告)
早姫(プロフ) - 感動しました〜...！こう...仲間の大切さとか､友情ってこんな感じなんですかね？もしも､男主君が転生したら今度は幸せになって欲しいです〜！感動し過ぎて､涙が止まらず親に驚かれました...(￣▽￣;) (2018年5月24日 17時) (レス) id: 37587c2084 (このIDを非表示/違反報告)
果凛(プロフ) - かきぴーさん» 返信が遅くなり、申し訳ありません汗 そこまで言っていただけるなんて……！ありがとうございます。目を擦ったら腫れるので、ちゃんとハンカチで押さえてくださいね。笑 (2018年3月21日 8時) (レス) id: 38593f3572 (このIDを非表示/違反報告)
かきぴー - さっきから目を開いても前がよく見えないと思ったら瞼が腫れてるだけでした。めっちゃ号泣しました！！！隊長イケメン！！好き！！好きです！！！最後は家族の元に旅立ってしまった男主でしたが、仲間の大切さがよくわかる話でした！！ (2017年12月15日 22時) (レス) id: 41dff5bdb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：果凛 | 作成日時：2017年8月30日 17時
