一期「貴方とこのままずっと一緒に」 (ページ10)

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おめでとう(本編最終話) ページ10

Aside

広間に向かう加州、彼に寄り添う安定と乱
その3人を、1歩後ろで微笑みながら鶴丸がついていく
そして、鶴丸の後ろを私と千音を抱いた一期が、ゆっくりとついていく

『ようやく、平和になったと感じます』

一期が私を見る

『…お爺様のように上手く出来なかったけれど…』

前を歩く男士たちを見る
私たちを心配して、広間から離に向かって来ていた男士たちが、加州たちを明るく迎えていた

鯰尾「あっ皆来ましたよ！」
三日月「やぁ、待ちくたびれたぞ」
和泉守「てめぇ加州！俺たちを巻き込みやがってよ！」
堀川「違うでしょ兼さん！心配したってちゃんと言わなきゃ！」

『でも…この尊い場所を守れて良かった』

胸がいっぱいになる
暖かい日光が彼らを包み込み照らしている

一期「…貴方は最初から頑張っていましたよ」
『そうでしょうか。就任したばかりの私は、あまり印象が良くなかったのではないですか？』
一期「とんでもない。こんなに綺麗な人がいるのかと驚愕したものです」

一期のストレートな言葉に、思わず頬に熱が集まる
そういえば、最近は色々あったから、一期と2人きりで話すタイミングなんて無かったことに気が付く
この状況に少し戸惑っていて、一期が私の顔を覗き込んでいることに気付くのが遅れた

『いちっ…』

名前を呼ぼうとした唇は、一期の唇によって塞がれる
少しだけ押し付けられるように触れ合った唇が離れる寸前、一期が私の唇を舐めた

『……！？……！！？？』

一期はいたずらっ子のように笑った

一期「隙あり」

視界の奥の方で、男士たちがこちらを凝視しているのが分かる

『…なっ…な…』
一期「はっはっは！いやぁ、照れてる主も美しい！」

いや、確かに私たちは夫婦だし、別に接吻が嫌だとかそういうことはないのだけど
でも私にも心の準備というものが…

そう訴えたかったが声にならなかった
もう一度顔を近づけて来る一期に、思わず目を瞑る

一期「…結婚1周年、そして、誕生日おめでとう、A」

『！』

驚いて目を開けると、今度ははにかんだ笑顔を浮かべた一期が、桜を舞わせていた
そうだった
確かに数日前は誕生日だったし、しかも誕生日の前日は結婚記念日だ

頬に熱いものが伝う

一期「さぁ皆の元へ行きましょう。祝うことが沢山あるのですから」
『…はい！』

愛しい家族と、大切な仲間との日々
これからもこの宝物のような日々が続いていくのだろう
それがとてつもなく嬉しいと感じた

～完～