戦う理由 ページ3
乱side
加州の姿をした化け物は姿かたちをボコボコと変えながら、本丸中を逃げ回っていた
そいつの右手には、本物の加州の魂であろう淡い火の玉が掲げられていた
さらに、その化け物の足の速さは尋常ではなかった
五虎退「ど、どうしましょう兄さん…追いつけません…！」
僕の弟の1人が泣きべそをかき始めた
薬研「ごこ、大丈夫か？」
五虎退「ぼ、ぼく、怖くて…付喪神が時間遡行軍になるところを…初めて見ました…」
そう、時間遡行軍
僕ら刀剣男士の敵、歴史を変えようと目論んでいる奴ら
過去や未来を変えたいと強く願う刀剣男士も、時間遡行軍になりうる…僕は前の主さんからそう教えてもらった
だから、僕らは常に正しい過去にしっかりと向き合う必要があるんだ、と
…でも、加州は…
乱「…加州、前の主さんが死んだ時、僕らのことをずっと励ましてくれてたよね。自分だって泣きたいだろうに…加州はたった1人で…」
薬研「……」
乱「僕、自分が許せないよ。あんなにずっと一緒にいたのに、加州の心の闇がこんなに大きくなるのに気付けなかったなんて」
薬研「乱、あの化け物は加州清光の意思じゃないぞ。あれは負の感情が具現化してしまった…」
乱「分かってるよ。でも加州が苦しんでたことには変わりないよ。それに、加州はあいつから逃げる素振りも見せなかった。何かしら共感する部分があったんだと思う…」
長谷部「なら、早急に助けねばならないな」
五虎退「長谷部さん…」
前衛をひた走る短刀に混じって話し始めるのは、後ろから追いついて来たであろう長谷部さん
長谷部「本体と魂が乖離したままだと、そのうち自我を見失ってしまうぞ。そうなったら加州清光はおしまいだ」
五虎退「お、おしまい…って…？」
長谷部「…俺たちの手で、加州も殺す必要があるってことだ」
五虎退「ひっ…！」
乱＆薬研「…」
それは僕らも理解してた
だから、早く、速く…加州を助けないと…！
乱「薬研、僕先に行くよ」
薬研「待て、1人で仕掛ける気か？」
乱「1人じゃないよ。僕があいつの足を切るから、動きが止まったら皆で総攻撃して欲しいの」
鶴丸1＆2「それはつまり1人で突っ込むということだろうが」
乱「鶴丸さんたちいつの間に前衛に！？」
鶴丸2「君たちが傷ついたら、兄上は大層悲しむんじゃないか？」
確かにいち兄は悲しむかも…
でもね…
乱「それが、行動しない理由にはならないでしょ？」
鶴丸2「…！」
乱「見てなって…乱れちゃうからさ！」
僕は本体を抜いた
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作者名：リンリン | 作成日時：2024年3月22日 21時
