【番外編】生え初むる ページ20
Aがお風呂から上がり離に帰っていると、薬研藤四郎に出会った
『薬研』
薬研「よう、大将」
『何かありました…?』
薬研「ん、いや。千音の歯の生え方とか、健康状態とか、明日にでも見させて欲しくてな。それを言いたかったのが1つだぜ」
『助かります。で、本題は?』
薬研「……その……」
薬研藤四郎は気まずそうに視線を迷わせて言った
薬研「…夜泣きが、だな……」
❁❀✿✾
一期「困ったな…おしめではないし…やはりご飯が…しかし…あーよしよし…」
『一期!』
薬研藤四郎と共に離に帰った審神者を見て、一期一振は笑顔を綻ばせた
一期「主!それに、薬研!」
『本丸からは離れているので今まで気にしていませんでしたが…短刀にはずっと夜泣きが聞こえていたようで…』
薬研「すまないな御二方…いつもはすぐ泣き止むから良かったんだが…今夜はちぃと長くて……その…眠れなくてな…」
『ご迷惑をかけて申し訳ないです』
一期「この子、普段はすぐに寝てくれるんだけどね…お粥が食べたいみたいで…」
薬研「そのようだな。飯食わせろって叫んでるぜ」
『やはりそうだと思って、歌仙を起こしてきました』
一期「えっ」
歌仙「…やぁ」
寝起きであろう歌仙兼定が審神者の後ろに立っていた
歌仙「…10倍粥の仕込みを夕餉の時にしておいたんだ。少し待ってくれれば、粥を作れるけれど…いるかい?」
『すみません歌仙、お願いしてもよろしいですか?』
歌仙「…拝命した」
歌仙兼定は少々不機嫌そうに厨に向かって行った
そして10分後には粥を持って再び離に現れていた
一期「あ…歌仙殿!」
歌仙「…すり潰した10倍粥だよ。今のままだと少し熱いだろうから…冷ましてあげてくれ…」
『ありがとう、歌仙。眠いでしょうに、よくやってくれました』
歌仙兼定から粥を受け取った審神者は深々と頭を下げた
審神者は粥をひと匙掬い、息をかけて冷ましてから、娘に向き合った
『…千音』
千音「あう?」
『あー…』
千音「あー?」
娘の開けた口に、スプーンを近付けて反応を見てみる
唇にスプーンを触れさせてみると、そのスプーンにぱくりと食いついた
全員、特に歌仙兼定と審神者は、娘の様子を見る
千音「だー!!(おいしい!)」
全員『良かった…!』
いつもより長い夜泣きに疲れ果てた大人は、千音が眠った瞬間に気絶したように眠ったという
新緑の 中や吾子の歯 生え初むる
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作者名:リンリン | 作成日時:2024年3月22日 21時