一期「貴方とこのままずっと一緒に」 (ページ19)

今日:9 hit、昨日:24 hit、合計:1,549 hit

【番外編】中や吾子の歯ページ19

Aは自分の娘を腕に抱き、夫譲りの黄色い眼と目を合わせた

千音「うあーっ！きゃっきゃっ！」

大好きな母親に見つめられ、姫君は大きく口を開けて笑う
大きく開かれた小さなお口の中に微かに見える白いもの

『歯が…生えてる…！』
一期「本当ですか！」
『最近、口元をもごもご動かしているとは思っていましたが…まさかもう生えてるなんて…』
歌仙「まだ6ヶ月だと言うのに…もうひと月くらい後になると予想してたのだけれどね」
石切丸「最近、姫君は、僕たちが食事をしているところをじっと見ていたからね。そろそろ離乳食を始めても良いのではないかな」
蜂須賀「そうだね。食事に興味が出てきたんだろう」
堀川「最初はすり潰した粥をひと匙だけ食ませるんですよね」

我が子の急な成長に驚き戸惑う審神者とその夫を置き去りにし、何百年も人の世を見てきた神様たちはわいわいと騒ぎ始める

千音「あー、うー」
歌仙「ああ…すまないね、ミルクを飲む気分にさせて、放ってしまったね。主、初めての離乳食は近いうちに君のタイミングで食べさせるといい。いつでも作れるようにしておくからね」
燭台切「既製品の離乳食も、美味しそうなやつをネット通販で買っておくからね」
歌仙「では、姫君のご飯を再開しようか」

惚けている審神者の手から千音を抱き上げ、歌仙兼定は丁寧にミルクを飲ませる

『……人の成長って…早い…』
一期「全くの同意ですな…」

❁❀✿✾
その日の夜

離から聞こえる大きな泣き声
泣きわめく千音をあやしながら、一期一振は風呂に行った妻が離に帰ってくるのを待っていた
体力が付いてきた娘は、おすわりもできるようになり、この世界の様々な事柄に興味を示すようになった
そして、興味を持ったものは経験しないと機嫌が良くならないのである
本日千音が興味を抱いたのは、ご飯である

千音「ああああああああぁぁぁ！！(ご飯食べたい！！)」
一期「こ、困ったな…よしよーし…千音…ミルクならここに…」
千音「あああううぅぅぅぇああああ！(ミルクじゃなくてご飯！！)」

思いっきり背中を反ってミルクを抵抗する我が子に、一期一振はとても辟易していた
彼とて神の端くれ
子供は、七つまでは神の子という
娘の言い分はなんとなくだが理解していた
だが、一期一振は

粥の作り方が分からなかったのである

一期(主〜！早く帰ってきてくだされ〜！)