一期「貴方とこのままずっと一緒に」 (ページ15)

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【番外編】本丸トップ2 ④ ページ15

一期「力が弱い…？最近覚えた冗談かな？」
乱「んもうっ！」
一期「さて…また無駄口を叩いているようなら」

また一期一振が動く
驚いた表情の弟に太刀を振り下ろす
しかし

乱「行動は読まれてると思った方がいいよ」
一期「！」

乱藤四郎は一期一振の背後に立っていた

乱「…ダメだよ？その手」
一期「しまっ…！」

ドスッ

一期一振は乱藤四郎の刺しを咄嗟に利き腕の逆で受けようとしたが、短刀の速さに追いつかず、腕に太刀を受けてしまった
血がボタボタと床にこぼれ落ちる

一瞬鈍くなる兄の動きを、弟は見逃さない

一瞬で刀を引き抜き、左手を兄の肩に置き、その手を軸にふわりと舞った
兄の真上を捉えた乱藤四郎は、迷わずに兄の脳天に刀を振り下ろす

キィン！

しかしそれは弾かれる

一期一振の右腕に握られた太刀は、勢い良く短刀を弾き返した
そしてその切っ先は乱藤四郎の美しい左側の髪の毛と、彼の露出した腕を斬った

二人は急いで体勢を整える

一期一振は乱藤四郎を見て驚いた表情をする

一期「髪…」
乱「中途半端な長さになっちゃった」
一期「…すまないね。逆側も切ってあげよう」
乱「やだぁ！いち兄ってばセンスないんだもん！脳筋だし！」
一期「そう…かい！」

次は二人同時に動いた
刃が激しくぶつかり合う

受けたり、避けたり、受け流したり
周りに観客がいることも、傷口が広がるのも、お互いの血で道場が、自身が汚れるのも気にせず
最初の方はまだしていた会話も、次第になくなっていた
代わりに響くのは雄叫び

ギィィィィィン！！！

一際大きく、刃がぶつかる音が響いた
途端に歪む二人の表情
身体だけでなく、本体に刃こぼれができたことが傍目にも理解出来た
限界だ
誰もがそう思ったが、限界まで興奮している二人は戦いをやめようとしない
今にも掴みかかりそうな二人

そこで

厚「そこまでだ！！」

ドスッ

乱「うっ！」

ドスッ

一期「ぐっ！」

厚藤四郎の肘が二人の腹にめり込んだ
二人は呻き声をあげ、そのままばたりと倒れた

厚藤四郎が、二人の兄弟を注意深く見る
そして声高らかに宣言した

厚「勝者、乱藤四郎！！」

途端に空気が緩み、歓声が上がった

『…乱が勝ったの…？』
薬研「乱の方が生存が残っているし、立ち回りも殺陣も上回っていると感じたな」
『…加州、私は二人の手入れに行きます。千音をお願いします』
加州「わかった」
薬研「待ってれば治癒するぞ？」
『ばか、どう見ても骨が折れているでしょう…』