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「あっ…」






A「あのっ!!!!!」


できる限り声を荒らげて放った


曖昧な視界を確信に変えるために


周りの人間は私を凝視する


そこには、松陽も桂も高杉も含まれる


勿論、彼女も


通り過ぎる筈だった彼女はその場に停止すると、


こちらへ振り返った


ゆっくりと進む時を目で追う


彼女は毛先で輪を描き、大きな目に乗った瞼を開く


白い着物に同化しそうな白い肌


真っ赤なリボン


「あぁ…」


そこにたっているのは









「……シオン」


私がずっと探し続けていた少女


私の声が彼女に届くことは無い


だって、こんなにも距離がある


大きな壁が立ちはだかっている


彼女が認識できるのは「巨大な壁」であり、私ではない


じきに、彼女の視線は元の道へと戻っていった


何事も無かったかのように、進むべき道を歩み始めた


「私」という存在に気づかないまま


「はっ…」


知っていた


知っていたことだ


「今の私」じゃ、彼女に気づいてもらえない


「銀時」と騙った私は、「銀時」であり


「A」という存在はもう何処にもないんだ


「…はは」


乾いた笑いが零れた


私の手元に落ちてきたのは、小さな笑い声と涙だった


私はその場に崩れ落ちた


松陽も高杉も桂も…心配した様子で私に駆け寄った


松陽は何かを察した様子だった


短い嗚咽を漏らす


小さな悲鳴と言ってもいいかもしれない


もう、誰も私に気づかない


あの子は私を知らない


こんなにも、あの子の幸せを願っていたのに


これでやっと…あの子がやっと幸せになれるのに


どうして、こんなに苦しいの?


なんで、こんなに辛いの?


私は立ち上がった


彼女に背を向けて、私も元の道を戻る


これで…終わり


これで、終わり。


そらに葉が舞い上がり、この白い髪を大きく靡かせた









「………Aちゃん?」

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ToaRin.人形劇の人形師(プロフ) - キラリ&キララさん» 返信が遅くなってしまい申し訳ございません。話数を間違えてしまったので修正させていただきました。わざわざご指摘頂き、ありがとうございます。 (2018年6月22日 20時) (レス) id: ae3734b391 (このIDを非表示/違反報告)
キラリ&キララ(プロフ) - すみません"途中"まで一緒な気がするでした (2018年6月18日 16時) (レス) id: 8fa86492e9 (このIDを非表示/違反報告)
キラリ&キララ(プロフ) - 102と103が同じな気がするんですが……気のせいですかね?気のせいならばごめんなさい (2018年6月18日 16時) (レス) id: 8fa86492e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ToaRin | 作成日時:2018年5月15日 19時

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