第百五十五話「寤寐思服」 ページ18
貴「へ…？」
思いもがけない言葉に戸惑っていると、また階段を駆け上る音が聞こえてきた。
ケロロ「お二人さん何やってるでありますか！冷めちゃうでありますよ」
ケロロ「タママも迷惑かけない！A殿は病み上がり？であります」
タママ「はっはぁいです ケロロさぁん！」
手を引っ張られ、なされるがままに下に降りていく。
ふわりと小麦の匂いがした
それは、とても香ばしくてお腹の音が鳴りそうになる。
でも、どうしてだろう。
私はこの感覚を懐かしいとは思わない
焼き立てのパンなんてそうそう食べるものでも無かったのに
それどころか、つい最近食べたことがあるような
ケロロ「A殿…泣いてるでありますか？」
貴「え」
会長の言葉で頬に伝わる涙に気付く。
貴「あっあぁこれは」
急いで拭おうとする手を後ろから、誰かに抑えられ、ハンカチで拭われる。
お礼より先にその手に目がいく
病的なほどに白く、青い血管がコントラストとなっているかのように目立っている。
「久しいでござるな」
背筋が、凍った。
私は後ろを振り向けない
どうしてかって、そんなの決まっている。
見覚えが、聞き覚えがありすぎたからだ。
貴「…ぁ」
息を出すのが精一杯で、動悸がして、視界が眩む。
なんでどうして、私の頭は疑問符で覆われる
何もそれは彼がここにいるからだけじゃない。
怖いだけじゃない。
今すぐにでも彼を抱きしめたい。
また“あの時”のように、頭を撫でてほしい。
あれ、あの時って何なのだろう。
『私、怖かったんです。』
『記憶を取り戻したかったのは、きっと…』
『こんなことになるなら…』
言葉が途切れ途切れ、頭に響く。
私の罪を償ってくれる存在
私を大事にしてくれる存在
…私が、愛してる存在？
違う、私が好きなのは
色んな私の声が聞こえる。
わたしってなんだろう
そんな中、1人の私が発した言葉が口に出る。
貴「ドロロさん」
その“ドロロさん”の手は震えている。
ケロロ「ケロ…？ドロロ大丈夫でありますか？」
ケロロ「顔、真っ青でありますよ」
ドロロ「あっあぁ大丈夫でござるよ、心配無用でござる。」
ケロロ「とりあえずA殿は早く席に座るであります！」
会長に手を引かれ、席にへと座る。
ケロロ「ケーロケロ、A殿ぉ」
ケロロ「A殿も罪な女のよぉ」
ケロロ「そんな笑顔でドロロのことを見つめるだなんて」
小声の会長の言葉に釣られ、
ふと手で口元を触ると、私の口角は歪に上がっていた。
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こも(プロフ) - 好きすぎて何周かしました…がち大好きです…続き待ってます！！ (1月30日 21時) (
レス) @page19 id: c580577939 (このIDを非表示/違反報告)
みまさかや(プロフ) - 四字熟語の意味とか伏線とかめっちゃ気になります！！話構成やキャラがすごく立っていて素晴らしいです！！続き出されるのか分かりかねますが有れば飛び上がって喜ぶ自信があります。執筆活動頑張ってください！ (2021年5月30日 1時) (レス) id: a432ddc5a7 (このIDを非表示/違反報告)
ネコメ - 続きを楽しみにしてます。頑張ってください！ (2021年5月24日 21時) (レス) id: 38063781d3 (このIDを非表示/違反報告)
ルト(プロフ) - 更新されてて泣きました....ありがとうございます。大好きです。応援しています。 (2020年7月25日 18時) (レス) id: 1af78e2485 (このIDを非表示/違反報告)
メフィ - 気になる.....気になっちゃうよーーーーー！！！！！ (2020年7月3日 21時) (レス) id: 2ce8d674b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：提琴 | 作成日時：2015年9月10日 22時
