辿り着いた答え ページ7
.
何を叫んだんだっけ。
Aの手が滑り落ちていった時、僕は何を叫んだんだっけ。
『...久しぶり、...堀川、国広』
君が、何故か嬉しそうに笑ってそう言って、
僕は__
.
『...雪!!』
『大丈夫だ。落ち着け、雪』
.
「_川!しっかりしてください、堀川!」
「大丈夫か堀川!」
鯰尾くんの声が、皆の声が遠くに聞こえる。
心臓の音が耳のすぐ横で鳴っているみたいに五月蝿い。
奥歯ががちがちと鳴って噛み合わない。
震えが止まらない。
...ああ、これが、答えだ。
僕が無意識に叫んだ名前と、主さんが口にした名前。
それが、全ての答えだ。
「兄弟!」
視界の隅で少し汚れた、見慣れた布が翻る。
地に膝をついて弾き出してしまった答えに身を震わす僕を、しゃがんだ兄弟が覗き込んだ。
「大丈夫か」
「...」
「何があった」
「...っ」
「ゆっくりでいい。兄弟、拙僧達に話してみよ」
もう一つの低い声も聞こえた。
でも、震えは止まってくれない。
「...ぁ、」
引き攣った声が、張り付いてしまった喉の奥から溢れ出た。
「...ぼ、くは、」
潰れそう。
潰れそう。
潰れそう。
でも、
"この答え"が正しかったなら、きっと、
「...潰れそうだったのは、Aだ...っ、」
なんで。
どうして。
「...僕、知ってた、全部、」
「...兄弟?」
「なのに...それなのに、僕は...」
「兄弟、一度落ち着くんだ」
嫌われたくないな、なんて、そんな思いで僕はあいつに踏み込むのをやめた。
一度拒絶されたのが怖かったんだ。
失いたくないなんて臆病になって、
踏み込むことをやめて、
いつか話してくれるまで待とう、なんて。
『...たす、けて...、ばか堀川...』
あの時だけじゃなかった。
Aはずっと、僕に"助けて"って言っていた。
僕はそれを、知っていたじゃないか。
.
.
『一人でこの数を相手にすることが無謀なことくらい分かるだろう』
『...』
『聞いているのか?』
『...聞こえません』
『聞こえているだろう』
『...聞こえません』
.
あの子がどれだけ意地っ張りか。
そんなこと、分かりきっていたことじゃないか。
「...気づけなかった...!!」
ごめん。
ごめん。
お願い、時雨さん。
Aを、連れていかないで。
.
303人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
不透明どろっぷ。(プロフ) - 前回のやつと今回で涙腺が緩んで戻らなくなってしまいました(号泣) とても凝った話ですね! (2021年3月1日 22時) (レス) id: a7e7752e52 (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ2(プロフ) - 狩歌さん» やったぁぁ!!楽しみにしてますねっっ!! (2019年4月21日 20時) (レス) id: 5238a033a3 (このIDを非表示/違反報告)
狩歌(プロフ) - ニャンコソバ2さん» ニャンコソバさんこんにちは!ありがとうございます〜!楽しんでいただけたなら幸いです(*´∀`*)リクエスト了解しました!リア充させますよ〜! (2019年4月21日 9時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
狩歌(プロフ) - しおねーさん» ありがとうございます!もうしばしお待ちください〜 (2019年4月21日 9時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ2(プロフ) - お、お疲れさまでした…(?)貯めに貯めて、一気に読みましたところ、涙腺が見事に崩壊しました。笑堀川くんとリア充するやつ見てみたいです( (2019年4月21日 8時) (レス) id: 5238a033a3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:狩歌 | 作成日時:2019年2月18日 19時