【残雪の残夢 伍】 ページ24
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「大丈夫？」
暴れたせいで乱れた裾を直し、土埃を叩き落としながら雪さんが少年達に振り返った、瞬間。
「怖ったああぁ」
「姉ちゃああん」
「おう"っ」
泣きながら懐に飛び込んできた少年達に雪さんがたたらを踏む。しかしそれを抱きとめた雪さんは、彼らに目線を合わせるようにしゃがみ込み、その頭を優しく撫ぜながら言った。
「もう大丈夫だよ、冬夜、真白」
銀髪が揺れる。雪さんに抱き着き安堵の涙を流す少年少女は＿幼き日の冬夜さんと真白さんだった。
「...」
つい先程の出陣でも彼らに出会い行動を共にしてたけど、その時の彼らは雪さんと同じ年頃まで成長した姿だった。
そんな刀だった時の記憶よりも時を進めた彼らの姿に僕は懐かしさを覚えつつも、何処か穴がぽっかり空いたような虚無感を感じて。
でも今、嘗ての僕の記憶と寸分違わぬ光景が目の前に広がっている。
欠けてばらばらに散った欠片が合わさって、あるべき姿を取り戻したような。
「...っ」
込み上げてきた先程感じたものとは比べ物にならない懐かしさに、息が詰まって切なくなる。
ああ、やっぱりここは＿
「＿ろ...ん、＿くん、...国広くん」
「っ！」
呼ばれた名前にはっと顔を上げる。雪さんが心配そうに僕を覗き込んでいた。
「大丈夫？」
「あ...ご、ごめん、ぼーっとしてた。...それより雪さんと、その子達は...」
僕が出ていく間は見る限りなかったけど、怪我とかはしてないのだろうか。
そう思って問いかけた僕に、雪さんは笑って言った。
「私達に怪我はないから大丈夫だよ。...歩きながら話そうか」
＊
＊
＊
「髪色のせいでね、昔から変なのに絡まれやすいんだ、私達」
狭く暗い路地から活気溢れる表通りに戻ってきた僕らは、殆どの人の群れが進む方向とは逆の、町外れに向かって歩いていく。その中で雪さんがそんなことを言った。
「珍しい色してるでしょ？」
ふわりと結えられた彼女の髪が揺れる。改めて、その美しい雪髪に目を奪われた。
「だからああいうことはしょっちゅうでさ。...理解してくれる人もいるけど、してくれない人の方が多い。気味悪がられて、最悪見世物小屋や人売りに突き出される」
「...」
「私は抵抗する術を学んだから基本大丈夫。...だけどこの子達は違うから」
両の手に小さな手を繋いだ雪さんが、呟く。
「...私が、守らないと」
その幼い手を握り締めた雪さんの横顔が、悲しいほど大人びて見えた。
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不透明どろっぷ。(プロフ) - 前回のやつと今回で涙腺が緩んで戻らなくなってしまいました(号泣) とても凝った話ですね！ (2021年3月1日 22時) (
レス) id: a7e7752e52 (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ２(プロフ) - 狩歌さん» やったぁぁ!!楽しみにしてますねっっ!! (2019年4月21日 20時) (レス) id: 5238a033a3 (このIDを非表示/違反報告)
狩歌(プロフ) - ニャンコソバ２さん» ニャンコソバさんこんにちは！ありがとうございます〜！楽しんでいただけたなら幸いです(*´∀｀*)リクエスト了解しました！リア充させますよ〜！ (2019年4月21日 9時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
狩歌(プロフ) - しおねーさん» ありがとうございます！もうしばしお待ちください〜 (2019年4月21日 9時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ２(プロフ) - お、お疲れさまでした…(?)貯めに貯めて、一気に読みましたところ、涙腺が見事に崩壊しました。笑堀川くんとリア充するやつ見てみたいです( (2019年4月21日 8時) (レス) id: 5238a033a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩歌 | 作成日時：2019年2月18日 19時
