【残雪の残夢 肆】 ページ23
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鋭く輝った雪さんの瞳。僕はそれを、何処かで見たことがある気がする。
「...分かった」
少年の頭を軽く撫で短くそう言った雪さんは瞬間、弾けたように駆け出した。
「え、ちょっ...！」
当然僕もその後を追う。見知らぬ町...ではないけど、一人残されるのは少し勘弁だ。
それより。
「...足速っ」
雪さん物凄く身軽なんだけど...。
間を置かずして僕も駆け出したはずなのに雪さんとの距離が一向に縮まらない。どころか、少しずつ離されてるような気がする。
理由としては、目を覚ましてしばらくして気づいたことだけど、僕の服装が先程まで着てた内番着から紺碧の着物に姿を変えていた、というものがあるだろう。普段僕は寝間着以外ほぼ洋装だから、それも相俟ってか和装で動くのに慣れていない。
そしてもう一つ。
身体が重く感じるのだ。
仮にも付喪神たる僕らの身体は人間よりは身軽だ。でも今は、今まで通りの動き一つ一つが何だか億劫で、身に宿る神力も感じられない。
まるで僕自身が、人間になってしまったような。
そんなことを思った、その時だった。
「な、何だこいつ!!」
動揺した男の声が複数。と同時に前を走る雪さんの姿がぶれ、そして。
「退けろオラァ!!」
キレた安定くんといい勝負になりそうな口の悪さを披露しながら、雪さんが華麗な蹴りを男の一人にお見舞した。バキィッと重い音が響く。
絶対痛いあれ...。
その後も雪さんは呻き声を上げる男達をお構い無しに薙ぎ倒していく。僕よりも背が低く華奢に見えるその体の一体どこにそんな力があるのか。挙句ばきっとかどごっという鈍い音の合間に、"沈め!!"だとか"クソが!!"だとかかなりの罵詈雑言も聞こえてくる始末だ。
「...おっかない...」
完全に雪さんの独壇場だ。もう無双。男達の方が寧ろ可哀想に見えてきて、目も当てられない状況に僕はそっと合掌した。
やがて蹴っ躓きながら男達が退散していく。雪さんはそれを見本過ぎるほど華麗に中指を立てながら見送っていた。
「次来たら腕二、三本貰うからな」
...何ていうか、黙ってりゃ大人びた美人な子なのに、蓋を開けたら大分じゃじゃ馬で物騒で残念な子だ。
物凄く既視感がある。
というか雪さんは、突然何でこんな...。
そう思ってふと彼女の足元に目を向け、僕はああそうだったと先程の少年の言葉を思い出す。
『冬夜と真白が...！』
雪さんの足元には、蹲る星の欠片色の髪をした少年少女がいた。
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不透明どろっぷ。(プロフ) - 前回のやつと今回で涙腺が緩んで戻らなくなってしまいました(号泣) とても凝った話ですね！ (2021年3月1日 22時) (
レス) id: a7e7752e52 (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ２(プロフ) - 狩歌さん» やったぁぁ!!楽しみにしてますねっっ!! (2019年4月21日 20時) (レス) id: 5238a033a3 (このIDを非表示/違反報告)
狩歌(プロフ) - ニャンコソバ２さん» ニャンコソバさんこんにちは！ありがとうございます〜！楽しんでいただけたなら幸いです(*´∀｀*)リクエスト了解しました！リア充させますよ〜！ (2019年4月21日 9時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
狩歌(プロフ) - しおねーさん» ありがとうございます！もうしばしお待ちください〜 (2019年4月21日 9時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコソバ２(プロフ) - お、お疲れさまでした…(?)貯めに貯めて、一気に読みましたところ、涙腺が見事に崩壊しました。笑堀川くんとリア充するやつ見てみたいです( (2019年4月21日 8時) (レス) id: 5238a033a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩歌 | 作成日時：2019年2月18日 19時
