懐かしい二人 ページ10
【堀川side】
「「おぉ...!」」
「ほおおお!まっこと美味そうな料理ぜよ!」
目の前に広がる香ばしい匂いを醸し出す料理たちに、僕らは思わず感嘆の声を漏らした。
中でも今にも飛びかかりそうな勢いの陸奥守さんが身を乗り出す。
「これ全部冬夜が作ったんか!?」
「いんや、他の厨房の人達も作ったよ」
「まだありますよー」
がたんと音を立てて更に追加の料理が卓に加わる。またしても食欲を誘う香しい匂いを放つ料理だ。...今度これ燭台切さん達と作ってみようかな。
「お礼なので遠慮なくお好きなだけ食べてくださいね」
「腕が鳴るからじゃんじゃん注文してくれ!」
食事を運んできた少女_真白さんと、厨房で料理を作ってくれた少年_冬夜さんは、にこりと笑ってそう言った。
あれから僕らは、陸奥守さんの腹の虫が鳴き僕ら自身も腹ごしらえをしたいと思っていたところを、お礼をすると申し出てくれた真白さん達に連れられ、彼女達が働いているという飯所へやって来ていた。
「「いただきます!!」」
我慢の限界だというように飛びつく陸奥守さんと鶴丸さんに二人は満足そうに笑む。
二人の細められた灰紫の瞳と、笑った弾みに揺れる星の欠片を集めたような銀色の髪。
「...」
一目見て分かった。
.
『お侍様、こんにちは!』
いつも時雨さんに声を掛けてきた、あの雪髪の少女の双子の弟妹だ。
...まさかこんな所で、こんな形で再会することになるなんて。
「...」
「どうした国広?」
「...あ...何でもないよ兼さん!」
あの頃のまだ物心ついたかついていないかくらいの幼さは二人にはもうなく、二人共_特に真白さんはあの雪髪の少女にそっくりだ。
何か...世界ってすごいなと漠然と感じる。
「それにしても悪いな、助けたのは薬研なのに俺達まで...」
「薬研...?珍しい名前なんですね」
「...あ」
真白さんの言葉に兼さんがしまったと固まる。溜息を吐いた薬研さんがすかさずフォローに入った。
「俺達は色々と旅してる身で、この近くの出じゃないんだ。だから身なりも名も珍しいはずだ」
「なるほどなぁ」
「まあ俺っちはお前さん方のその髪色も珍しいと思うがな」
「そうだな、初めて見た色だ」
薬研さんのその言葉に蜻蛉切さんが同意し、両頬いっぱいに食べ物を詰め込んだ鶴丸さん達も頷く。
やっぱり皆珍しいと思うものなんだ。
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狩歌(プロフ) - 作者さん» 私も作者さんのコメントで大泣きしました。ありがとうございます...!! (2020年2月14日 8時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
作者 - 大泣きした…もうやばい…語彙力低下した… (2020年2月14日 1時) (レス) id: 514b4bbba8 (このIDを非表示/違反報告)
狩歌(プロフ) - かふぇいんさん» 告白されちった(違う)。そんなこと言っていただけて感無量です。ありがとうございます!リクエスト了解しました!もうしばしお待ちください! (2019年2月10日 22時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん(プロフ) - 連続でコメントすみません…!夢主ちゃんの質問コーナーみたいな茶番が見たいです。ぜひお願いします! (2019年2月10日 22時) (レス) id: 67bbfad4af (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん(プロフ) - すき。すきです。すきしかでてこないです。これからも心から応援してますッ…! (2019年2月10日 22時) (レス) id: 67bbfad4af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:狩歌 | 作成日時:2018年12月28日 13時