脣星落落 ページ33
【千歳side】
「紫空切氷雪を部隊に加えたことは、誤算でしたが」
鋭い夜空の藍が俺を捉えてそう言った。冷え冷えとしたそれに俺はもう慣れたが、初見さんは縮み上がるだろう。
「...」
ちらと扉を見やる。
本来政府の役人との話し合いなどには近侍の刀剣男士を付けることが多いが、今回俺は近侍である山姥切に席を外させた。彼は今、俺が見やった扉の外で待機している。
何故席を外させたか。理由は一つだ。
木蓮が今回訪れた理由は何度も言うが件の遡行軍の話をするため。
だが、政府の役人が来てAの話にならないことなどないからだ。
「誤算...ね。あいつだって刀剣だ。部隊に組み込むことは当然だろ」
「それは承知してますよ。私が言いたいのは、今回の時代に彼女を送り込んだということです」
「...」
「あの時代には"彼ら"が生きている。しかも出陣先は"彼ら"が暮らす町です。紫空切氷雪が"彼ら"に接触する可能性をどうして考えなかったんですか？」
「...歴史通りならしないだろ」
「でも例の遡行軍の術のせいで微弱に歴史が変わり、現に紫空切氷雪は邂逅したでしょう。
...
もう睨んでいる、と言っていいだろう。それほど鋭い眼光で、憎たらしいほど真っ直ぐ俺の瞳を木蓮は捉える。
「何度も申しますが、"あれ"は特異な存在なんです。他の刀剣達とは、背負っているリスクの大きさが違う」
真っ直ぐな瞳ってのは嫌いじゃない。Aやここの刀剣達が、いつもその瞳をしているから。
でも。
...ああ、嫌だなこの感じ。
何度も何度も経験したことがある、上から押さえつけられるような、反吐が出るこの感覚。
それでも。
「...俺は正直、会ってもいいと思ったよ」
「！...正気ですか？」
「あいつには前を向いて欲しい。でもそれは何がきっかけになるか分からない」
「...」
「だから、望みを掛けて出陣させた」
恩返し出来んなら、そんくらい苦じゃねえよ。
「俺はあいつの強さを信じる」
あいつは政府が言うようには、絶対に＿＿
ビーッビーッ
「「!?」」
途端部屋に鳴り響いた耳障りな警告音。
自動的に浮かび上がったホログラムが、それの正体を俺達に教える。
「千歳様、これ...」
木蓮の緊張を帯びた声に、冷や汗が流れ落ちた。
「...なんだ、これ...どういうことだよ...。
なんで、時間遡行軍が出現してんだ...!?」
.
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狩歌(プロフ) - 作者さん» 私も作者さんのコメントで大泣きしました。ありがとうございます...！！ (2020年2月14日 8時) (
レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
作者 - 大泣きした…もうやばい…語彙力低下した… (2020年2月14日 1時) (レス) id: 514b4bbba8 (このIDを非表示/違反報告)
狩歌(プロフ) - かふぇいんさん» 告白されちった(違う)。そんなこと言っていただけて感無量です。ありがとうございます！リクエスト了解しました！もうしばしお待ちください！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 8b0337ee0c (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん(プロフ) - 連続でコメントすみません…！夢主ちゃんの質問コーナーみたいな茶番が見たいです。ぜひお願いします！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 67bbfad4af (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん(プロフ) - すき。すきです。すきしかでてこないです。これからも心から応援してますッ…！ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 67bbfad4af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩歌 | 作成日時：2018年12月28日 13時
