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先輩の後に続いて、駅の近くにあるショッピングモールに入る。
日曜日のショッピングモールは家族連れや学生で賑わっている。
『！』
先輩を見失わないようにと頑張ってついていく私に、少し前を歩く先輩が手を伸ばす。これって、手を繋ごうってことだよね…
おそるおそる手を重ねると、ぎゅっと握られる。
手を繋ぐだなんて友達同士でもすることなのに、なぜだかドキドキしてきた。
タ「そういえば、今日は髪型が違うんだねぇ。私と出かけるために、わざわざおめかししてきたのかい？」
『っぁ、はい！変でしたか…？』
急に話しかけられて、上擦った声が出る。
タ「ふふ、そんな事はない。髪型もメイクも服も、君によく似合っていて、可愛いよ」
『ありがとうございます…』
嬉しい嬉しい嬉しい。手を繋いでただでさえ速くなっていた鼓動が、さらに速度を増す。
顔が赤くならないように、繋いでいないほうの手をほっぺたに当てた。
・・・
先輩が寄りたかったところというのは、書店のようだ。このショッピングモールにある書店は、多分この辺りで1番大きい。
広い店内を慣れたようにすいすいと進む先輩について行く。
着いたのは科学のコーナー。
分厚くて難しそうな科学書をいくつか手に取り、胸に抱えた先輩が、こちらを振り向く。
タ「君は買いたいものは無いかい？」
『いえ、特には…』
タ「そうかい。じゃあ、私は会計をしてくるよ。」
『わかりました。私、お店の前で待ってますね』
お会計の列に並ぶ先輩を横目に、ひと足先にお店の外に出た。
お会計をしている先輩を眺める。黒い高級そうなお財布がよく似合っている。お札を取り出す指の動きまで綺麗で、つい見入ってしまった。
・・・
先輩がお店から出てきた。
さあ行こうか、と歩き出す先輩の手をじっと見つめる。手、もう1回繋いでもいいかな…
繋いじゃおうかな。いや、繋いでいいか断ったほうがいいかな。
考えているうちに、先輩が私の手を握ってくれた。
嬉しくて、口角が上がる。
次に続きます
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作者名：winter | 作成日時：2022年8月13日 2時
