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「マジで何なの？お前。結局着いてくるとか、構ってちゃんか」
「お前に言われる筋合いはねぇよ。クソ天パ」
「あ？なんか言ったか？厨二病。チビは声も小さくていけねぇや」
「まっこと仲がいいのぉ、金時と高杉は」
「「誰がこんなやつと」」
「こら、やめないか。二人共」
結局、奴らの隣を歩いている俺に嫌気がさす
しかし、仕方がないとも思う。
顔を合わせれば喧嘩ばかりする野郎の口から“懇意にしている女”の名が零れ落ちたのだから
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女との出会いは数年前の山奥。
その頃は戦の影響で、各地を転々としていた
時間を持て余した俺は散策がてら、適当に山の中をほっつき歩いていた
木々が生い茂る中、少し開けたところにあったキラキラと光を反射する池に、
柄にもなく足を止め見入ってしまったのはまだ記憶に新しい
近付き、水を手で掬うと、その清涼感が指の間を通り手首を伝う
一口、口に運ぶと日々の心労が幾らか洗い流されたような気がした
そんな矢先、ぱしゃんと水面を叩く音がした
飛沫が上がった場所はそう深くないところだったため、寄って見る
「…簪か？」
赤い装飾に金色に光る柄。水に沈んだそれが、陽の光に照らされ、輝いていた。
見る限り、それなりに値は張るものだろう。
昔、親が似たようなものを所有していたような気がする。
一先ず掬い上げ、手に取り、落ちてきた方に視線を向けた
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作者名：慎 | 作成日時：2022年10月22日 19時
