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40.記憶玉 ページ41

八重が走ったのを見届けた家入が、冥冥に指示を仰ぐ。


「Aが動きました。どうします?冥先輩。」
「特級以外の呪霊排除兼、時間稼ぎをしよう。硝子は私についておいで。2人は猿謡の背後に回れ。
Aが得る情報によって対応が変わることを忘れるな」
「「「了解」」」







私は帳内を走った。猿謡と関わっているなら近くにいるはず。
住宅地の屋根を飛び越えて注意を払っていると、1匹だけ目立つ呪霊がいた。


「見つけた!お前だな!」
『ァアアア』
「!」


準2級呪霊は姿を消した。まさか、猿謡の術式を付与されているのか!
しかも階級がそこそこな分、残穢も薄い。これでは探すのに手間がかかるだろう。

私はひとまず残穢を頼りに追いかけて公園に追い詰めた。ついに気配も分からなくなる。
でも平気。隠れる者は拓けた場所を避けるだろうから、この公園から出ようとするはず。


「悪いね、炙り出すよ。倶利伽羅之竜(くりからのたつ)ーーー犯土浄炎環(ぼんどじょうえんかん)


人為的な大地震が起こり、竜巻が出現した。公園の砂が全面に広がり、隠れていた呪霊の輪郭が顕になる。そこを狙って火を宿し、火災旋風に呪霊を巻き込む。
ついこの前まで苦戦していた強さなのに、慣れたものだ。


『イギ…』
「あれ?」


呪霊の手中には、もう1つ(・・・・)の記憶玉があった。ソレを無理やり剥ぎ取ると、呪霊は悲痛の叫びをあげて消滅した。

すると、その玉は内部で赤い(・・)霧を吹き始めた。黒と混じって血の色みたい、と思ったのも束の間。記憶玉はみるみる溶けだしていき、生温かい液体と化して私の手首を伝っていく。
その過程を観察していたら、液体が紫に変色した。

私は気づいた。
ああ、これは本物の血だ!記憶玉は、呪霊本体のものだったんだ。


「前回もこの猿謡の術式が付与されていたから、特級と入れ違ったんだな」


それに赤→紫の血に変色したってことは、元人間だ。
人間だったうちに記憶を盗まれ、呪霊になってから奪い返したのだろう。霊は過去世のモノに執着する傾向があるし。…悪いことをした。


「…待てよ?ってことは、猿謡は無期限に記憶玉を所持することができるのか。
記憶玉は呪力ストックとして最適だし。その代わり数回しか使えないとかあり得そう」


それだと前回と比べ極端に呪力量が増えたのも説明がつく。
ようは、猿謡の懐を空にすれば良い訳だ!

私はポケットから蝶の呪霊を取り出して、傑に知らせた。

41.悲劇→←39.絶対に祓う!!



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tomishiro(プロフ) - また、本作はバトル描写が中心であり、恋愛描写は続編で明確になります。後者をご希望の方はもう少しお時間を頂きます。どうかご確認下さい。(こんなとこで話してますけど) (2022年6月20日 1時) (レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)
karenyoshi0308(プロフ) - 八重はいつか夏油と結ばれるんですか?ってコメント頂いたんですけど、難しいところです。 (2022年6月19日 22時) (レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とみしろ x他1人 | 作成日時:2022年6月3日 10時

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