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28.ゴールデンウィーク ページ29

灰の煙が雲を描いて溶ける。
放課後の教室で留まる生徒らは、夕焼けのせいかどこか憂いを帯びている。

私は教室の隅に立って、3人の姿を見つめていた。


「何となくAのことは分かった。
一番意味不なのはあの特級ね。
もし記憶の改竄(かいざん)ができたら勝ち目ないじゃん」
「…あんなに高度な呪術を使えるんなら、違和感すら与えず私の記憶の一部も取り除いたかもしれない」


シン…と、その場が静まり返った。

全員が疑っていたことが本人の口から告げたことで、曖昧だった不安が塊となってそこに置かれる。

しまったと思うと同時に、言えて良かったと思った。蔑ろにしていたら、次アイツに会った時に戦えない。
私は声の調子を上げて言った。


「でも、記憶を奪えても改竄は出来ないと思う。そこまでいったら、それは呪術じゃなくて超能力だもん。」
「んなんわあってるよ。そうじゃなくて、術師が呪霊と張り合って何の手応えも得られなかった事実が最悪なんだろうが」


悟くんが私の言葉を遮った。

確かに、私たちは何も分からない。今こうして悩んでいる時間さえ無駄と言えるだろう。
でも悩まずにはいられない。
そんな脅威が近くにいるという事実に怯まないほど、私たちは成熟していない。
まだ1年生になったばかりなのだから。


「まあ、既に終わったことだ。掘り返すのはよそう」


どこか冴えない気持ちでいる3人をフォローしたのは、傑くんだった。


「もうGWは始まっている。みんな明日から忙しくなるよ。」
「でも五条。劇に関する呪霊なら、映画館・舞台・部活動…遭遇する確率は上がるんじゃ?」
「そこはもう対処済み。学長が近辺に念を込めるよう支持した。そこまで数はないだろうが、人が溜まりやすい場所には結界張ってあると思う。
俺たち(・・・)を守るためにな。」


「俺たち」という言葉を強調するように、悟くんが()の方を振り向いた。その意味に気づき、私は酷く驚く。
その様子を見た悟くんは、ニヤッと笑った。


「…学長(・・)が!?夜蛾先生じゃなくて?」
「ああ。今後のAの実力を見計らうつもりでもあるらしいぜ。いい機会なんじゃね?」


私は呪詛師の子供ということもあって、学長に酷く警戒されていた。
その証拠に、特級と張り合った時も救助を支持したのは夜蛾先生だ。
何とか任務を貰うことはできたのだが、
まさかその学長が私を認めようと…。


「目の色が変わった」


硝子が微笑んだ。

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tomishiro(プロフ) - また、本作はバトル描写が中心であり、恋愛描写は続編で明確になります。後者をご希望の方はもう少しお時間を頂きます。どうかご確認下さい。(こんなとこで話してますけど) (2022年6月20日 1時) (レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)
karenyoshi0308(プロフ) - 八重はいつか夏油と結ばれるんですか?ってコメント頂いたんですけど、難しいところです。 (2022年6月19日 22時) (レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とみしろ x他1人 | 作成日時:2022年6月3日 10時

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