29.最強の誕生 ページ30
「GWは大半が
「横文字が多い…そうだね、行くとするか」
5月1日。
悟くんと傑くんが合同任務で群馬に行くことになった。硝子は相変わらず単独。私の任務は明日からだ。
私は意を決して先の2人を呼び止めた。
「ねえ!私も行っていい?」
「は?やっとの休養だろ。呪力切れが来ても足手まといなだけ」
「そうじゃなくて、見学したいの。2人のこと」
私は後ろにいる補助監督のお姉さんに視線を送った。
釣られて2人もその人を見る。
補助監督さんは既に車を用意しており、視線に気づくとこちらに向かって頭を浅く下げた。
「ハァ…上からは許可済みってことね」
「もしかして、学長のことで気合い入った?」
「うん。もっと強くなって認めてもらいたい」
その言葉を聞いた後、悟くんではなく傑くんが私の額にデコピンを喰らわせた。
「でっ」
「見るだけだからね。基本は補助監督さんと一緒にいること。帳には入るな。いい?」
「30秒で支度しなァ!」
こうして、一日が始まった。
「つっても、やっぱTQばっか」
「休暇はストレスが少ないからね」
「群馬なら焼きまんじゅう買って帰ろーぜ」
午後2時。もうほとんど仕事を片付けた2人が、車の後部座席で暇そうにしていた。
助手席にいる私は、その様子をバックミラー越しに眺める。
2人は嘘つきだ。さっき、準2級呪霊はほとんどお手の物みたいな顔で戦っている姿を見た。
確かに私も夜蛾先生のぬいぐるみやホテルの任務先で準2級・2級を相手にしたが、それでも手一杯だったのに。やはり、元々の体力の差が大きいのだろう。
…気づかないうちに、2人はそこまで駆け上がっている。でも今は焦るべきじゃない。できるだけ吸収しろ。2人の背中が描く、″強さ″というものを。
突然、悟くんが背を伸ばして運転席にいる補助監督さんの肩に触れた。
「オネーサン、止めて。」
「どうしたんだ悟」
「準一級いる。あそこ」
悟くんがコツ、と窓ガラスを爪先で叩いた。
しかし、その先には残穢も気配も感じない。
六眼だけが分かるのだから、割と遠い場所を指しているのだろう。
悟くんが、隣の傑くんに目配せをする。
言いたいことが伝わったのか、困ったような口ぶりをしながら傑くんは笑った。
「一か八か」
「大丈夫さ。私たちなら」
その言葉を、私は決して忘れない。
「最強だから」
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tomishiro(プロフ) - また、本作はバトル描写が中心であり、恋愛描写は続編で明確になります。後者をご希望の方はもう少しお時間を頂きます。どうかご確認下さい。(こんなとこで話してますけど) (2022年6月20日 1時) (レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)
karenyoshi0308(プロフ) - 八重はいつか夏油と結ばれるんですか?ってコメント頂いたんですけど、難しいところです。 (2022年6月19日 22時) (レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とみしろ x他1人 | 作成日時:2022年6月3日 10時