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37.冥冥と八重 ページ38

距離を取る。呪力は使わない。攻撃もなるべく仕掛けない。
前みたいに領域を展開されたら終わりだ。その前に応援が来なければ、私は死ぬ。


ズズズズズ!!


私は大きく拓けた土地に逃げた。GPSに信号を送ると、帳が一気に縮んだ。
半径100mくらいだろうか。


『帳が縮んだぁ?お前がやったのかA』
「なぜ私の名を?」
『キヒッ!記憶を盗んだからなぁ。俺は記憶の中でも呪力の1番多いモノを盗む。
つまりトラウマや黒歴史を失くしてくれる神様だ!お前にとっちゃ嬉しいかァ!』


私は嘲笑した。反吐が出るほど気持ち悪い。

特級はそのまま、術式の開示を進めた。
開示中は嘘をつけないため、弱点を聞き逃さないよう集中する。


『俺の名前は猿謡(ようえん)。江戸から生きる、娯楽を愛する特級呪霊だ。』


猿謡という呪霊は隈取の化粧をしていた。
鮮やかな十色の爪紅、華麗な山吹色の若衆衣装。
猿謡は上を脱いでおり、骨の浮いた半身に異形の筋肉を埋め込んでいる。

それを波のようにうねらせて魅せると、その歯を見せて奇妙に笑った。なんともおどろおどろしい。


『俺の術式名は曝快(ばくかい)。偽物を作ることに長けている。
領域展開・我楽多窕々演舞(がらくたちょうえんぶ)では、触れた呪力の主の記憶を具現化・盗むことができる。
ただし1人につき1度だけ。改竄は不可能。
ようは俺はもうお前に領域展開できない(・・・・・・・)。』
「ふーん。学長の結界から抜けたか?」
『嗚呼!あの結界は凄かった!内側の呪霊をことごとく殲滅していく自動システム!俺には効かなかったが』


私は内心驚いていた。開示の量が多すぎる。
ただでさえ前より呪力量が多くなったというのに、まだ準備を整える。
多分猿謡自身もなぜ私の術式に負けたのか分かっていないから、私を殺したくて仕方ないのだ。


『Aの呪力量は大して上がってないなあ。
体術が多少身についても、結界術が使えないなら±0だ。じゃ、そろそろ死ぬかぁ』


猿謡は生得領域を作ろうと手をかざした。
やっぱりだ。コイツは、今更(・・)作る。


「それは困るね」



ガキンッ!!



突然、真上から誰か降ってきた。烏と共に。





「冥先輩!」
「面白いことになってるじゃないか、八重」

38.戦いが、始まる→←36.再会



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tomishiro(プロフ) - また、本作はバトル描写が中心であり、恋愛描写は続編で明確になります。後者をご希望の方はもう少しお時間を頂きます。どうかご確認下さい。(こんなとこで話してますけど) (2022年6月20日 1時) (レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)
karenyoshi0308(プロフ) - 八重はいつか夏油と結ばれるんですか?ってコメント頂いたんですけど、難しいところです。 (2022年6月19日 22時) (レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とみしろ x他1人 | 作成日時:2022年6月3日 10時

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