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34.可能性 ページ35

午後4時。夕時が来る。急がなければ。私は道を阻む枝をかき分けて走る。
呪霊の気配が消えた。勝ったのか?

峠に辿り着くと、仰向けに倒れている2人がいた。
その光景に背筋が凍る。


「傑、悟!しっかりして!」
「…うるせえ」
「体力が底をついただけ…でもごめん。歩けそうにないかも」


私は携帯で補助監督さんを呼び、お姉さんは悟に、私は傑に肩を貸した。
身長差もあって、落ち葉に足を掬われないよう注意して歩く。


「ありがとう、A」
「いいよ。それよりおめでとう。また強くなったね」
「悟がいてくれたからさ。…ねえ、A」
「ん?」
「朝方の思い出はあるか?」
「ないよ。どうかした?」
「……そうか…いや、なんでもないさ」












「結界術を教えて下さい!」
「だから俺たち知らねえって。」


翌日。私は怪我を負った同級生に向かって深く土下座した。
ツムジの先には苦い顔をした男2人がいる。

梅雨は全国的なイベントが少ない。
また、呪術高専に限らず誰もが意欲の弛む時期。
なので私はGWのうちに学長に認めてもらうため、今こうして恥を捨てている。


「簡易領域か領域展延を使えるようになりたい…か。
他に教えてくれる人はいないの?」
「うん。家系上先輩と話せないし、夜蛾先生は忙しそう」
「じゃあ無理。」


悟の切り捨てるような言葉に反論しようとするも、その前に傑が言った。


「ぶっちゃけ簡易領域を習得できる人は限られているから難しいよ」
「え、そうなの!?」


知らなかった。私は顔を赤らめた。
昔に座学で学んだはずの結界術の基礎が抜けている。
しっかりしなきゃ。

ーーブブッ

すると、携帯が振動した。任務の知らせだ。


「ごめん!任務入ったからまた後で!」


私は2人に手を振って、小走りで補助監督のもとへ向かった。









…五条は走り去る八重を尻目に見た後、目前の友人に言った。


「おい傑。"難しい"じゃねえだろ。"無理"だ。」
「正直ね。君の眼を通せば確実だろう。
でも、絶対無理なことに挑戦する人間は見てて楽しいし、」



夏油は目前の背中を見届けながら笑った。



「できないこともできる気がしないか?」



五条はもう一度八重を見たが、もうその姿は消えていた。


「…わかんね」


ふと、五条は思った。

この眼を得てして失ったものは、そんな感情なんじゃないか、と。

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tomishiro(プロフ) - また、本作はバトル描写が中心であり、恋愛描写は続編で明確になります。後者をご希望の方はもう少しお時間を頂きます。どうかご確認下さい。(こんなとこで話してますけど) (2022年6月20日 1時) (レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)
karenyoshi0308(プロフ) - 八重はいつか夏油と結ばれるんですか?ってコメント頂いたんですけど、難しいところです。 (2022年6月19日 22時) (レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とみしろ x他1人 | 作成日時:2022年6月3日 10時

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