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24.怒れ、少女。 ページ25

暁の空が街を満たした。
爽やかな風が袖を通り、どこかくすぐったい。
見慣れていた景色が全く別のものに思える。

少女は赤に手をかざし、初めて見たのに懐かしさを覚えるような心地に浸っていた。


「…初めて友達が私を外に出そうとした時、どうすればいいか分からなくて。」


途端に、少女は口を開いた。その小さな口から発せられた言葉は、夏油の想像を上回った。



「ころしちゃったの…私…」



太陽が雲に隠れた。
少女は(うずくま)り、動こうとしない。


「あなたみたいな子は沢山来る。だからもういいの。無駄なの。私なんか…し」
「その続きは言えないはずだ」


夏油はすぐにそう言った。
だが、どうして少女を庇ったのか自分でも分からない。相手は人を殺した子供だ。
隣にいる幼い少女のか弱さに胸を打たれたからだろうか。いや、きっとそうじゃない。


「君はまだ自分を諦めてない。だから私に着いてきてくれたんだろ?」


少女はその言葉にクッと喉を詰まらせ、顔を起こして夏油を見た。瞳の奥が揺れている。


「…っう、あああぁ〜!」


堪えきれなくなった雫が頬を撫でると、少女は声を大にして泣きじゃくった。

夏油は、少女の背中をさすった。















…そんな儚い思い出を「忘れるな」とでも言うように、暁の空が405号室にいる私たちを赤く染めた。
目を腫らした君が、隣で眠っている。その姿はまるで子供のようだ。

いや、子供だ。私も君も、まだ15歳の子供なんだ。
私はようやく、そこで気づいた。



ああ、そうだ。あの時、私は悔しかった。だから君を庇ったんだ。



全く知らない君のことがまるで自分事のように思えて、そんな君が自暴自棄になるのを、幼い私は許せなかったんだ。
泣きじゃくる君に、本当はもっと言ってやりたかった。

君みたいな子供に、責任なんて取れる訳ない。まして、対処法も原因も分からないなら尚更だ。

私たちは、生きるために、苦しまないために、いつの間にか理不尽や複雑な感情を受け入れてしまっている。




"だから、もっと(いか)れ。"





どれだけ無駄と言われても、


どれだけ弱くとも、


痛くて、辛くて、苦しいのなら、


(おもむ)くままに吠え続けろ。


誰も助けてくれなかったら、なんて考えなくていい。


君は絶望しない。


絶望するのは君じゃない。


君を助けられなかった私なんだ。


君にも愛される資格がある。






怒れ、少女。


君は赤く、燃え盛る。

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tomishiro(プロフ) - また、本作はバトル描写が中心であり、恋愛描写は続編で明確になります。後者をご希望の方はもう少しお時間を頂きます。どうかご確認下さい。(こんなとこで話してますけど) (2022年6月20日 1時) (レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)
karenyoshi0308(プロフ) - 八重はいつか夏油と結ばれるんですか?ってコメント頂いたんですけど、難しいところです。 (2022年6月19日 22時) (レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とみしろ x他1人 | 作成日時:2022年6月3日 10時

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