#037.β×Ω 2 ページ7
「…ほら、”一生、愛します”って言って。」
こんな馬鹿みたいな言葉、言いたくない。
けど…今のオレは…拒めない。
「…”一生、愛します”。」
すると、希良梨は続ける。
「”AAのことは何とも思ってない、好きなのは希良梨だけ”」
「…”AAのことは何とも…思ってない。好きなのは希良梨だけ”」
胸が痛くなった。
希良梨はというと、ニコニコと携帯を弄り始めた。
「じゃあ、聞いてくださーい。再生♪」
ノイズ音が過ぎれば、話し声がする。
『…国見くんさ…何か隠してるでしょ?』
…Aちゃんの声だ。
『隠し事なら、あるけど。それが今、関係あんの?』
『ある。』
『…Aにはさ…痣があるでしょ?』
『…見たの?』
『いや…その痣、父親からの遺伝だから…。もう、分かったでしょ?』
『嘘だ…』
『嘘じゃない。』
『…好きだよ。』
『わかってるなら…なんで…?』
『…わかってなんかないよ。』
『…やめないから。』
『…やめっ…!…お願い…っ!』
______絶句した。
「これで分かった?徹。」
「………何がしたいの?」
「実はね、これほぼリアルタイムだから。」
「だから何がしたいんだよ!!」
オレが怒っても、希良梨は動じない。
「別に。ただ徹がアタシのこと見てくれないから。
____腹違いの姉弟だなんて、知らなかったけどね。」
そう笑って、言ってのけた…その顔を…
潰したかった…。
「……っ!」
揺れる、揺れる。
熱い、熱い、熱い。
…何で、こんな時に…!!
「徹?ねぇ、徹?どうしたの?ねぇ…
___徹?Ωだったの?」
「…だったら、何さ。」
「…何で言ってくれなかったの?薬は!?」
アンタが飲ませなかったんだろ、と言いたかった。
けど、オレにはそんな余裕は無かった。
「クソ川…!!オマエ、大丈夫かよ…!」
あれ…?もう1時間?
目の前に、岩ちゃんがいるんだけど…。
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作者名:色葉怜 | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2014年12月31日 22時