大人しくなんねん ページ8
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「練くん、私大人しい女になんねん」
「で、なんでおれのところに来るん」
次の日の昼休み―――
Aは三年七組の大耳練に引っ付いていた。大男と大女が一緒にいるのはさすがにかなり威圧的で、クラスメイトたちも近寄れず皆が遠くからそれを見守っている。北信介は自分の席で昼食を用意しながら二人の様子を伺っていた。
「なぁ、練くんが言うたやん〜!私のこと大人しくないて!」
「せやから、兄貴に聞きぃ言うたやろ…!」
「練くんは何も分かっとらん!あの二人がそんなん分かるわけないやろ!!私とDNA一緒やねんぞ」
Aがギャンギャンそう言うのを聞いて、大耳と北は驚く。Aがあの二人と同じDNAだったという自覚があったのは驚きだ。
いつも兄と似ていると言われると怒るAだが。大耳はそっか、あの二人の妹やねんなと心の中で納得し、彼女に向き直った。
「すまんなぁ、じゃあおれは具体的にどないすればええんですか」
「や、やからぁ……その、大人しゅうなる方法?とか、てか大人しい女の子ってなんやねん。教えてや」
「そっからなん」
「そっから」
Aは北のことになると突然ポンコツになる。普段は口が達者で、怖い先生や先輩にも臆することなく自信満々な態度だが―――途端に北を引き合いに出されたり、北が出てくると彼女は固まって顔を赤くして吃る
大耳は彼女のそんな所は唯一可愛らしいと思っていた。普段の厄介さはあの双子と余り変わらないのだが
「じゃあ一個言わせてもらうけどな」
「お、おん」
「あの毎日プロポーズするんをやめぇ」
大耳の口から発せられたそんな言葉。その何気ない正論を突いた言葉にAは身を仰け反らせる。まさか、大人しくなる方法を聞いてこんな答えが帰ってくるとは―――
大耳と遠くから様子を見ていた北が首を傾げるとAはダラダラ冷や汗を流しながら机を叩いた。
「そ、そんなこと出来るわけないやろ!!」
「なんでや。普通あんなん、大人しゅうない女の子でもせんぞ」
「あれが私の恋愛スタイルなんじゃ!!」
「自分、猪突猛進過ぎひんか」
いややとごねるA。北はそんな二人の様子にフッと笑った。ハッとした時には二人の視線が北の方へと向いている。
「Aと練はオモロイなぁ」
「北さぁん、そないなこと言わんで北さんも考えて下さいよぉ」
「やからなんで本人に聞くんやて」
Aは北の方へ駆け寄って頭を撫でてもらっている。その姿はやはり彼氏彼女とは言えず――
大耳は主従関係、という枠に当てはまりそうな二人を見て大きくため息をついた。
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かなで(プロフ) - この間初めて読んだのですが、面白すぎて一気読みしてしまいました!評価ボタンが一つなのがとても惜しいです笑 これからも頑張ってください! (2020年3月8日 15時) (レス) id: e96d9c0e1e (このIDを非表示/違反報告)
ぴいち(プロフ) - 月埜さん» 月埜さん、コメントありがとうございます。連載当初から見ていただいて、こちらも感謝の気持ちでいっぱいです。最後までお付き合い頂きありがとうございました! (2020年2月26日 22時) (レス) id: f952b08383 (このIDを非表示/違反報告)
月埜(プロフ) - 完結おめでとうございます。公開初日から読ませて頂きました。月並みな言葉しか言えませんが、主ちゃんと北くんの関係が最初から最後まで本当に素敵だなと思いました。素敵なお話をありがとうございました! (2020年2月26日 18時) (レス) id: d1ca7a883a (このIDを非表示/違反報告)
ぴいち(プロフ) - 柿山さん» 柿山さん今回もお目に止めて頂きありがとうございます!!真っ直ぐな主人公とそれを蔑ろにしてくれない北さんのモダモダした関係が続きますが、気長に読んでいただけたら嬉しいです! (2020年2月14日 10時) (レス) id: f952b08383 (このIDを非表示/違反報告)
柿山(プロフ) - あああ〜〜もう今回も今回とて好きです!!!夢主さんの北さんに対する真っ直ぐすぎる感情表現が堪りません…!!しかもそれを雑に扱うのではなく、丁寧且つスパッと対応する北さんの在り方も素晴らしいです!!!これからゆっくりと楽しみにしております…!!! (2020年2月13日 22時) (レス) id: 296b088bbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴいち | 作成日時:2020年2月13日 21時