42.怒り ページ27
SIDE:A
『……!』
服がはだけた咲さんを見て、激しい怒りが襲ってくる。
抵抗できない女性に、寄ってたかって……
『……最ッ低』
「あ!?」
冷ややかな目線を選手たちに向ける。
『女性に2人で詰めかけるなんて最低でしょ。ふざけないで』
そう言った私もふと思った。
(……いや、咲さんを1人にした私も私か)
選手と自分に向けて溜息をつく。
それが逆鱗に触れたのか、その選手たちは鬼の形相で一気に近づいてきた。
せっかく咲さんにやってもらったお団子を握りつぶすように持たれ、痛みに思わず顔を顰める。
「お前こそふざけんなよ」
「黙って聞いてりゃ調子に乗りやがって!」
バキッ!
拳で頬を殴られ、口の中に血の味が広がる。
(……殴られたときに内頬を噛んだのか)
こんな状況なのに、変に頭は冷静だった。
『咲……さ……逃げ……』
「っ誰か……!!」
咲さんに誰かを呼んでもらう間、標的は私に変わった。
どうやら激昂しているらしく、咲さんがいなくなっていることには気づいてない。
選手の1人が振りかぶった。
あーやば、モロ食らったらちょっとまずいかも。
……でも、こっちにだって策はある。
私は迷わずポケットから
「なッ!?」
「は……鋏!!?」
そう。
咲さんに持っててもらう予定だった鋏だ。
私は鋏を振り上げた。
選手たちは怯むもお団子は離してくれない。
_____もう、いいか。
嫌だけど。
怖いけど。
それでも。
『ッ……』
私はお団子の部分を縛ってある元の部分からバッサリ切った。
ふわり、と残った髪が下ろされる。
ピッと首元に冷たい感触が走った。
鋏が掠ったみたいだ。
たらり、と“何か”が流れる感じがする。
血?
呆然としている選手たちを置いて私は走ってロッカールームを出た。
走った。
足がもつれそうになりながらも走った。
でももちろん、すぐに選手たちも追いかけてくる。
逃げ足は早い方だと思ってたけど、やっぱり現役サッカー選手には敵わない。
追いつかれる!
そのとき。
『!?』
ぐいっと腕を引かれ、バランスが崩れた。
転ぶ、と身構えたそのとき。
ポス、と受け止められ、すぐに壁の影に連れ込まれた。
暴れ出さないようにするためか、後ろから抱きしめられる。
片手で私の口を覆い、片手で頭を撫でられた。
撫でられたその
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使い古した絡繰り人形 - はじめまして! 気付くのが遅くなってしまい、申し訳ありません・・・。もちこさん、コメントありがとうございます! これからの展開もご注目ください! これからもお楽しみに! (11月1日 16時) (レス) @page1 id: 28472857ff (このIDを非表示/違反報告)
もちこ - はじめまして! 作品を読ませてもらいましたが……とっても面白かったです!!これからも楽しみにしています。 (10月20日 18時) (レス) id: 6a0884a222 (このIDを非表示/違反報告)
使い古した絡繰り人形 - もこさん! 2度目のコメントありがとうございます! なるほど・・・確かにそれも良いですね! 色々と試行錯誤してみます! ありがとうございます! これからもお楽しみに! (10月7日 21時) (レス) @page33 id: 28472857ff (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 出来たら落ちはなしか愛されエンドで完結したあとに他の人の落ちを書くというのはどうでしょうか?いきなりすみません。更新頑張ってください! (10月7日 20時) (レス) @page33 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
使い古した絡繰り人形 - もこさん! コメントありがとうございます! 更新も頑張っていきます! どんどんキャラが増えていきますよ〜、これからもお楽しみに! (9月28日 21時) (レス) id: 28472857ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:使い古した絡繰り人形 | 作成日時:2023年9月18日 11時