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本当に、駄目だ。
自分でも意味がわからない、この生理現象。

圭一に触れられた所からじんわりと熱が広がっていく。
真っ直ぐな目と視線が絡み合うと、逸らしてしまう。
なんなのか、分かっているはずなのに、分かりたくない。駿の感情は矛盾している。



「まだ気付きませんか?」

「な、にを…。いいから、はなせよ」

「先輩、俺から逃げないって言いましたよね」


それって。

駿の指をすくい上げる。
そして、低く笑う。

その目に、声に、笑みに。
何もかも、飲まれてしまって、動けない。


「俺から何されても逃げないってことですか?」


ちがう、と否定しようとした駿の声を遮って、圭一は言う。


「じゃあ、この力の入ってない手、どう説明するんですか」


この、目がいやだ。
必死に分からないように、逃げようとする駿の感情に簡単に追いついて、引き戻してしまう。
駿を現実に、引き返してしまう。

これから圭一にされることを想像して、駿の顔は耳まで赤く染まっていく。
その様に、生唾を飲んだ。
自分より背も高く、いつも手の届かない位置にいた先輩が、今圭一の言葉で頬を染め、目を甘くとろけさせ、圭一の手を未だ振り払えずにいる。
その様子が何を意味しているかなんてもうとっくに分かっているが、圭一は唇をなめて、駿の目を見つめた。



「先輩、俺のこと好き?」

「ぜんぜん、好きじゃない」


俯いた駿に、圭一は焦ることもせず、意地の悪そうに笑っただけだった。
手の甲に薄く当たる圭一の吐息に、駿ばかりが悩んで、困って、反応してしまう。


「俺はあんたのこと、好きだよ」


他の誰にも見せないようなあまったるく優しい目で、駿に微笑む。
それを、愛しいと思ってしまう。
思ってしまったら、最後、圭一の手のひらで転がされるのを、分かってるのに。
それとも、もう転がされてんの?
あー、ぜんぜんわかんねー……



「すき?」

「…うん」


顔を真っ赤にしてこくんと頷いた。
でも圭一は嬉しそうな顔一つせず、仏頂面だった。
そして、不安になった駿の耳元に唇を寄せる。


「うんだけじゃ、分かんない」

「なっ」


駿の一言は、今までの羞恥心もプライドも全部なぎ倒してまで言った一言だった。
けれど、圭一はそれじゃ物足りないという。


「俺、あんたのこと愛しくて愛しくて、めちゃくちゃしてやりたいと思ってるけど、あんたは?」


その言葉にぱちくりと瞬きをしたあと、駿は更に顔を赤くして、唇を震わせた。




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作者名:男主クリスマス合作企画 x他2人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年11月11日 17時

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