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「明日から冬季休暇に入る。全員、浮かれて怪我等しないように。…解散！」
教卓の前で先生が告げ、号令で礼をした後、クラスがドッと騒がしくなる。
皆がバタバタと慌ただしく教室を出ていく中、前の席の侑斗がこちらを振り返って、
「一緒に帰ろうぜ、A」
と言ってきたので、「うん」と応えて廊下へ出る。
廊下は部活に行く人、家に帰る人が行き交い、混雑していた。
前を行く侑斗の背中を何とか追って、ようやく靴箱に到着。
「…そういえばさ」
『んー？』
「クリスマスの予定は？」
『…予定なんかある訳ないじゃん』
こう見えて俺は結構人気者で、結構誘われたりした…けど、侑斗が「クリスマス空けといて」とか言ってくるから全部断った。
「へー」
ニヤニヤとこちらを見る侑斗。
『なんだよ』
「いやー？ちゃんとお願い聞いてくれたんだなって」
『はぁ！？』
そう言われると、律儀に言う事を聞いた自分が途端に恥ずかしく思えてきた。
『おっま、ふざけんな！』
靴を履き替えて歩き出した侑斗を急いで追う。
「ま、Aは俺のことだいすきだもんなー、当然だよな」
『大好きじゃねーよ、お前のことなんか！』
「嘘つけ、このツンデレめ」
誰がツンデレだ、と言い返そうとした時。
ぎゅ、と手を掴まれた。
「俺も好きだよ」
『＿！』
かぁ、と顔が熱くなるのを感じる。
「うっは、顔真っ赤」
『…うるせー』
暖かい手の感覚に応えるように、ぎゅっと握り返す。
へへ、という嬉しそうな彼の声が聞こえて、自分の頬も少しだけ緩んだ。
『…そういえば、クリスマスって何すんの？』
「あー、えっとな」
侑斗はごそごそと空いた方の手で鞄を探り、細長い紙を一枚取り出した。
『…遊園地の、チケット？』
「そ、近所のばーさんに貰った」
「はい」とチケットを手渡され、内容に目を通すと、どうやらこの近くの遊園地のクリスマス限定の入館料無料チケットらしい。
「２枚貰ったから、二人で行こーぜ」
『え、良いの？』
「いいんじゃね？『可愛い彼女と行ってこい』って言われたし」
『…』
嬉しいような恥ずかしいような気持ちが込み上げて、さらに顔が熱くなった。
「で、行く？行かない？」
『…行く』
「おっけ、じゃあ決まり！」
そう言って侑斗が手を離した。どうやら話している間に侑斗の家に着いたようだ。
「じゃあ、またクリスマスに！」
『うん。じゃあ』
手を振って侑斗を見送り、まだ感触の残る手を抱えて家に帰った。
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作者名：男主クリスマス合作企画 x他2人 | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2018年11月11日 17時
