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今日は12月25日。
約束の、クリスマスの日。
『何浮かれてんだろ、俺…』
部屋中に散らかった服や雑誌を見て、小さくため息をつく。
今時少女漫画でもこんなありきたりな事なかろうに。遠足の前日に寝れない幼稚園生か俺は。
しかも、悩みに悩んだ挙句お気に入りのパーカーとズボン……なんて変わり映えのない服装。
とはいえ今から買うのも時間が無さすぎるので、渋々袖を通した。
『…そろそろ行くか』
スマホを確認すると約束の時間が近付いていたので、スマホと財布、チケットだけ持って家を出た。
『………遅い』
約束の時間から二時間経ったけど、侑斗はまだ来ない。
LINEも送ってみたけど、返信がない…既読もついていない。
侑斗はいつもヘラヘラしてるけど、約束を破ったことなんか一度もない。
流石に心配になって、前教えてもらった侑斗の親御さんの携帯に電話することにした。
プルルル…プルルル…
[…もしもし]
『あの、突然すみません。Aですけど…』
続きを口にする前に、侑斗のお母さんが申し訳なさそうに話した。
[Aくん、ごめんなさいね]
'
'
'
[侑斗、さっき事故にあって意識がないの]
*侑斗 side
今日は待ちに待ちに待ちに待ったクリスマス。
楽しみ過ぎて待ち合わせの一時間も前に家を出てしまった…とにかく一刻も早くAの顔が見たい。
今日は何をしよう。やっぱり最初はジェットコースターかな?
そんな事を考えてはAの笑顔が浮かんで、胸が弾む。
「A、もう着いてるかな…」
目の前に観覧車が見えて、最後の信号を渡ろうとした_その時。
キキィ__________
ゴシャッと身の軋むような音がして、視界が白く染まり、何も見えなくなる。
「_A………」
手に握り込んだチケットが赤く染まるのだけが見えて、
意識が飛んだ。
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作者名:男主クリスマス合作企画 x他2人 | 作者ホームページ:http:/
作成日時:2018年11月11日 17時