キスシーンの描き方【名前変換オリジナル】

Opening ページ1

雨野 花菜、私は少女漫画家だ。

一昨年に出版社に出した作品が高評価を経て、現在「アリア」の名で恋愛ものの漫画を雑誌で連載させて貰っている。

おまけに彼氏持ちで、近々結婚を控えている。

自分で言うのも何だが、人生順風満帆だと思っていた。




「雨野さん。

今日も花、買ってくれるんですか？」

『うん、花を見てるとアイディアが結構浮かぶのよねー。

ヒロインを際立たせるときに花描いたりもするから、出来るだけ綺麗に描きたくて』

「はは、漫画家は大変ですね」


今日は仕事場で仕事をした後、お得意さんの花屋に向かった。

ここへは週一の割合で来ていて、目の前で穏やかに笑う渡井くんとはかなりの顔見知りだ。

渡井くんもカッコいいけど、うちの彼氏の方がカッコいいだなんて思ってしまうのは多分、私が彼に惚れ切っているせいだ。


『じゃあ今日はねー、このガーベラくださいっ』

「雨野さん、大分名前覚えましたよね。

前はチューリップとスイトピーしか知らなそうだったのに」

『違うよー、タンポポとかも知ってたし』

「それは野草です」


くつくつ笑いながら、渡井くんは一輪のガーベラを綺麗なブーケに作りあげてくれた。

その所作はいつ見ても美しい。

渡井くんから受け取ったガーベラのブーケを胸に抱き、お金を払うと足早に家に向かった。




――その後、何が待ち受けているか知らぬまま

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