5、猫 ページ5
次の日。
今日の私は真昼よりも早く起きて猫の世話をしていた。
それには後から起きてきた真昼は勿論驚いていて、それでも私が早く起きた理由を理解すると彼は小さく微笑んで制服を掴んだ。
「ほら、クロの事も大事だけど、自分の事も忘れんなよ！」
なんて呆れながらも微笑んでくれている真昼はやっぱり真昼だ。
彼は本当に大人だと思う。
私はいつでもそんな彼を尊敬している。
『じゃあクロ、帰るまで少し待っててね。すぐ帰るから』
そして私はこう言い残し、また電気を消しテレビも消し窓の鍵も確認した。
そして真昼にまたおっけーサインを送る。
…こうして、今日もいつも通りの1日が始まったのだった…
─────────────────────
授業が終わり、放課後。
私は誰よりも早く家に帰る準備を始めて学校を出た。
今度からは、家に帰ったらクロが待ってるんだ。
あの愛らしい猫が私を待ってくれてるんだ。
そう不思議と楽しみになり、速度も上がる。
真昼には、今日も少し遅れると聞いていたので、私が代わりに早く帰らなきゃなんて思っていた。
しかし
「あ、雪〜！！！」
後ろから聞き慣れた声を聞き、私は思わず止まって後ろを見た。
するとそこには、またまた笑顔満面な桜哉がいたのだ。
『あれ桜哉…まったく、いつもサボって帰ってるの？』
「えっ…あ、あぁバレたかぁ〜」
『もう…真昼大変すぎて倒れちゃうよ？』
「あいつなら大丈夫だ」
『ま、確かに』
と、またいつもの調子になって話していると、私はハッとして腕時計を見た。
それには桜哉も何だか無表情で私を見ていて、少し申し訳なさそうに桜哉にはいってみた。
『ごめんね、昨日真昼が拾ってきた猫が家で待ってるの。今日は急いでるから、先に帰るね！』
そして、これだけ言って私が背を向けた瞬間。
私の身体がよろめいて彼に支えられた。
…桜哉が私の腕を引っ張ったのだ。
それにすぐ反応出来ずに桜哉に倒れ込んでしまった私。
また謝ろうと思って桜哉を見た…
ものの、その彼の顔があまりにも怒りを含んだ表情で、思わず私は息をのんだ。
『…桜哉？』
しかし、そっと彼の名前を呼ぶと、桜哉はハッと我に帰ったようにして私の腕を離した。
そして、また悲しそうに笑う桜哉。
ねぇ…貴方はどうしてそうやって笑うの。
いつからそんな風に笑うようになったの？
そんな疑問は、目の前の彼には聞けなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 382人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
怜衣(プロフ) - 連投失礼いたします。17話まででべルキアが椿のことを「椿」と言っていることが気になりました。以降は直されているみたいなので、ご報告だけしておきました！ (2017年4月26日 18時) (
レス) id: f61c514b96 (このIDを非表示/違反報告)
怜衣(プロフ) - 初めまして！読ませてもらっているのですが、少し気になることがありまして...。べルキアの椿の呼び方は、つばきゅんではないでしょうか？ (2017年4月26日 18時) (レス) id: f61c514b96 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - ユイさん» ユイさんへ♪お返事遅れてすいません！いつも見てくださりありがとうございます！頑張ります！ (2016年9月6日 21時) (レス) id: b0ed99a4e9 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - いつも見てます。これからも頑張ってください!! (2016年9月4日 14時) (レス) id: 20080c7ffa (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 主夫LOVEさん» 主夫LOVEさんへ♪ほんとですか！嬉しいですありがとうございます！ (2016年9月4日 0時) (レス) id: b0ed99a4e9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪 | 作成日時：2016年8月18日 22時
