19、憂鬱 ページ19
何だかよく分からない緊張が漂う中、私は椿に持たれている吸血鬼人形を見ながら立ち止まっていた。
すると次の瞬間。
「っ！」
『クロ！！！』
いきなり椿は真昼の肩に乗っていたクロを掴んですぐそこへ投げたのだ。
そのまま人の姿になったクロ。
私はすぐに投げ出されたクロの元へと走り、彼の顔を覗き込んだ。
『クロ！大丈夫！？』
「だから俺吸血鬼だし…いてぇけど…」
そっとクロの手を握ってから、私は椿を睨み付けた。
真昼もいつもとは違って凄く怖い顔で椿の事を見ている。
取り合えずクロの側から離れないように、私は椿から隠すようにクロを守った。
この人、クロの知り合いなの？
そんな事を考えて私は彼を見ていた。
すると、また笑い出す椿。
私はもう今何が起きてて何がしたいのか分からない状態にただ困惑していた。
「あはははははははははははははははは！
……はぁ面白くない。
ねぇ雪？サーヴァンプって何人か知ってる？」
『……え？』
困惑の中、更に困惑させる事を言ってきた椿に、私は首を傾げた。
サーヴァンプ…とは、クロから聞いていた。
イヴという…主人と契約した吸血鬼のこと。
だけど、それが何人いるかを今椿から聞かれた。
そんな事、知らない。
そう考えていると、すぐ近くで起き上がったクロがボソッと呟いた。
「……7人だ」
7人。
その数字を聞いた瞬間、椿は笑いながら説明を始めた。
どうやら、真祖と呼ばれる吸血鬼は全部で7人兄弟らしく…クロはその中の長男、怠惰のスリーピーアッシュらしい。
そして……
「でも実はもう1人……
僕は8番目の真祖、憂鬱のサーヴァンプなんだよ」
椿と呼ばれる彼は、そう言って笑ったのだった。
…つまり、クロなどの7人のサーヴァンプの他に、この椿という吸血鬼がまだいたということ。
だけど、クロはどうやら椿を知らないみたいだし、何より私自身椿の事を知らなかったから、彼の事はこの時初めて理解したのだ。
…誰も、椿を知らない。
椿の存在を知らない。
それがどうも引っ掛かって、私はただ聞いている事しか出来なかった。
しかし
椿は黙り込んだ私を見ると、笑って当たり前のように呟いた。
"吸血鬼も人間もたくさん殺したいのは僕だよ"
『っ………』
その言葉に、私は思わず絶句して椿を見た。
じゃあ、今までの吸血鬼事件は全て椿の仕業だったの…？
そう理解した瞬間、私は青ざめたのだった。
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怜衣(プロフ) - 連投失礼いたします。17話まででべルキアが椿のことを「椿」と言っていることが気になりました。以降は直されているみたいなので、ご報告だけしておきました！ (2017年4月26日 18時) (
レス) id: f61c514b96 (このIDを非表示/違反報告)
怜衣(プロフ) - 初めまして！読ませてもらっているのですが、少し気になることがありまして...。べルキアの椿の呼び方は、つばきゅんではないでしょうか？ (2017年4月26日 18時) (レス) id: f61c514b96 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - ユイさん» ユイさんへ♪お返事遅れてすいません！いつも見てくださりありがとうございます！頑張ります！ (2016年9月6日 21時) (レス) id: b0ed99a4e9 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - いつも見てます。これからも頑張ってください!! (2016年9月4日 14時) (レス) id: 20080c7ffa (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 主夫LOVEさん» 主夫LOVEさんへ♪ほんとですか！嬉しいですありがとうございます！ (2016年9月4日 0時) (レス) id: b0ed99a4e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪 | 作成日時：2016年8月18日 22時
