12、後悔 ページ12
腰が抜けた私の真後ろ。
今までシルクハットの男がいた場所には…
なんとクロが人間の姿でいたのだ。
『クロ！！』
「……あぁめんどくせぇ…だからお前は吸血鬼に狙われやすい体質なんだよ……」
『は！？だからクロ、それ一体どういう……』
「……とにかく、今話してる暇はねぇから…
逃げるぞ」
『はぁぁぁあ！？！？うっぷ』
いきなり姿を現してシルクハットの男を蹴ったと思ったら、クロはそのまま方向転換して私の服の裾を引っ張った。
どういう事…？私の体質が吸血鬼に狙われやすい？
もう、訳が分からない。
そう思いながらも、私は龍征達の元に戻ろうと必死に抵抗した。
だけど、吸血鬼のクロに叶う筈もなく。
いつの間にか私の腕を掴んでいた真昼も着いてきていて、私は訳が分からないまま夜の町をクロに引きずられながら走ったのだった。
─────────────────────
町の路地裏。
あまり明るくない所まで来て、漸くクロは立ち止まった。
そしてクロは私の服の裾から手を離すと、明るい町を睨み付けて……元々そういう表情なんだけど。
口を開いた。
「……俺はあんな吸血鬼とは向き合えねぇよ」
一言、そう言うとギリギリ着いてきていた真昼が今度は大きな声で話し出した。
「戻らないと！友達が！！」
そう…こんな私を友達だと言ってくれた龍征と虎雪。
あんな大事な2人を、置いてきてしまった。
そう理解して、私は青ざめた。
シルクハットの男はいつまで倒れてる…？きっとすぐに復活するに違いない。
復活したらどうする…？龍征や虎雪が危ない。
そう思って、私はチラリと言い合いを始めたクロと真昼を見た。
悩んでる暇なんかない。
自分は、きっと今助けに行ったって大したこと出来やしない。
だけど、行かないで後悔するより、行って後悔した方が何倍もマシじゃないか。
そう思って、私は真昼とクロの目を盗んで路地裏から一気に飛び出した。
「雪！？」
「……あぁ…めんどくせぇ奴だ……」
友達を守れるなら、本当に死んだって構わない。
自分を必要としてくれる人がいるから、私は今まで生きてこられた。
恩返しなんて言えたもんじゃないけど、こういう時に動かないでどうするっていうのよ。
そう思いながら、私は大切な友達の元へと走って行った。
お願い、間に合って！
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 382人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
怜衣(プロフ) - 連投失礼いたします。17話まででべルキアが椿のことを「椿」と言っていることが気になりました。以降は直されているみたいなので、ご報告だけしておきました！ (2017年4月26日 18時) (
レス) id: f61c514b96 (このIDを非表示/違反報告)
怜衣(プロフ) - 初めまして！読ませてもらっているのですが、少し気になることがありまして...。べルキアの椿の呼び方は、つばきゅんではないでしょうか？ (2017年4月26日 18時) (レス) id: f61c514b96 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - ユイさん» ユイさんへ♪お返事遅れてすいません！いつも見てくださりありがとうございます！頑張ります！ (2016年9月6日 21時) (レス) id: b0ed99a4e9 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - いつも見てます。これからも頑張ってください!! (2016年9月4日 14時) (レス) id: 20080c7ffa (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 主夫LOVEさん» 主夫LOVEさんへ♪ほんとですか！嬉しいですありがとうございます！ (2016年9月4日 0時) (レス) id: b0ed99a4e9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪 | 作成日時：2016年8月18日 22時
