7. ページ7
.
「「Happy Birthday！！A〜！！」」
『わぁ！でっかいケーキだ！』
俺の顔が丸々ハマってしまうくらいの大きな１ホールケーキ。
大好物の果物がふんだんに使われていて、中央にチョコで《HappyBirthday A♡》と書かれていた。
７本の蝋燭に灯された火を吹き消せば、２人は笑顔で俺に拍手をして祝ってくれる。
「さぁさぁ！ケーキを食べる前に、プレゼントを渡しましょうね！」
婆ちゃんがそう言うと、爺ちゃんが大きな箱を慎重に抱えて俺に渡した。
いつもより大きなプレゼントに喜んだ俺を見て、「ゆっくり開けてごらん。」と促す。
２人の言うようにゆっくりと丁寧にラッピングを外して箱の蓋を開ける。
すると中で大きな黒い塊が動いていて、綺麗なアンバー色が俺をジッと見ていた。
『……子犬…？』
とても小さいけど、あの絵本に出てくる犬と同じような見た目だった。
戸惑う俺に爺ちゃんは子犬を抱き上げて、俺の膝に乗せる。
初めての本物の犬にどうしたらいいかわからなかったけど、その子犬は俺の顔をぺろりと舐めてきた。
俺は押し寄せてくる嬉しい気持ちが爆発して、子犬を抱き締めて泣いた。
「ドーベルマンという犬種だよ。
あの絵本の子にそっくりだったからねぇ。見つけた時は驚いたさ。」
「きっとこれも神の導き…。
良い子な貴方とこの子を引き合わせてくださったのよ。」
『…うんっ、ありがとう…！』
ずっとずっと、犬がいたらいいなと思っていたけど、そこまで我が儘を言うわけにはいかなかったから…。
でも２人にはお見通しだったんだろう。
俺はその子犬に《シャッツィ》と名付けた。
絵本に出てくる主人公の愛犬と同じ名前だ。
俺達はすぐに仲良しになった。
一緒に飯を食べて、一緒に遊んで、一緒に寝て……、まるで兄弟のように寄り添った。
『行くぞシャッツィ！！』
──バウッ！
そんなこんなで気付けば３年が経過した。
シャッツィもデカくなり、寝転がれば１０歳の俺と変わらない大きさになっていた。
孤児院にも３人新しく子供が入り、以前よりも賑やかになった。
俺が一番歳上で、周りから「お兄ちゃん！」と呼ばれるのは満更でもない。
シャッツィとも仲良くしてるし、俺達は本当の家族のように毎日を過ごしていた。
………けど、それは長くは続かなかった。
「──Hello！久し振りだねぇA〜♪」
『…………こんちわ…、ケニーさん…、』
──コイツが来るまでは……、
。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 235人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミカン酢(プロフ) - ほわぁぁぁあ遂にｯｯｯｯ…遂にｯｯｯｯ…（泣）1番見たかった展開きてもう感涙ですｯｯｯｯ (3月31日 1時) (
レス) @page46 id: 33398c6647 (このIDを非表示/違反報告)
redapple(プロフ) - リュートが見てみたいです！無理でしたらすみません(＞人＜;) ミヤビさんの🚹🦌毎日楽しみにして読んでます！長文失礼いたしました！ (3月29日 22時) (レス) id: eb8f244850 (このIDを非表示/違反報告)
redapple(プロフ) - 初コメ失礼します！リクエストでもし可能でしたら本編のほうでアダムが殺されて泣き叫ぶリュートに対して嫌味と意地悪な気持ちをこめて心にもないことを言い放つ攻め主をみてみたいです！そしてそんな攻め主に対して悲しみと憎しみと言い返せない悔しさを見せる→ (3月29日 22時) (レス) id: eb8f244850 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤビ(プロフ) - うちのこきゃわさん» うちのこきゃわ様、コメントありがとうございます！彼はある意味良い仕事をしていたようで笑、今頃弄ばれてることでしょう (3月23日 0時) (レス) id: 8b80540195 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤビ(プロフ) - カモノハシさん» カモノハシ様、コメントありがとうございます！男主が推しであることやケニーに対して感情移入してくださりありがとうございます！カモノハシ様の鋏が汚れずに済んで良かったです笑 (3月23日 0時) (レス) id: 8b80540195 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミヤビ
| 作成日時：2024年3月15日 12時
