サバナクローの美猫さん

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ボクはすぐ側にいたクラスメートにコッソリ耳打ちして何が起きたか聞いてみる。


『ねぇ、リー君達どうしたの……？』

「あぁ……あの新入生が『ハートの女王の法律第562条【なんでもない日】のパーティーにマロンタルトを持ち込むべからず』を犯したみたいだ。」

『は？何その法律？』

「俺も今知ったばかりだよ……。そんな法律があるなんて……。」

『一体何条あるの？』

「寮長が言うには810条……。」

『はっ、810条っっ？？！！』


そんな訳のわからない法律が810条もあるの？！考えただけで眩暈がする。
真面目で厳格な性格のリー君は１つの法律違反も絶対許さない。だからあんなに怒鳴ってたんだ。
どうやらトレイ先輩達もその法律は知らなかったらしい。まぁ知ってたらマロンタルトを作ろうなんて思わないよね。


リドル「ハートの女王の厳格さを重んじるハーツラビュル寮長であるボクが、この違反に目を瞑ることはできない。
──マロンタルトは今すぐ破棄しろっ！！
それから、こいつらを寮外へつまみ出せ！！」

ユウ「えぇっ？！」

グリム「俺達で頑張って作ったのにあんまりなんだゾ！！」

エース「ちょっと待てよ！！そんな無茶苦茶なルールあるか！！」

グリム「そうなんだゾ！捨てるんだったら俺様が食うっ！！」

トレイ「寮長、申し訳ありません。マロンタルトを作ろうと言ったのは俺です。」

ケイト「そうそう。まさかそんな決まりがあるとは思ってなくて……っ！」


リドル「作ったことが重要なんじゃない……
今日！今、此所に！持ち込んだこと"だけ"が問題なんだっ！！」


うわ……リー君それはやり過ぎだよ……。
周りの寮生もドン引きしてることに気付いてないのかな？
流石に止めないとちょっとヤバイかも……。

人混みを掻き分けてリー君達の所まで行って待ったをかけようとしたら……


ユウ「──頑張って作ったのにその言い方はないんじゃない？
そんな可笑しなルールに従ってるなんて……馬鹿みたい。」


冷静でいて、でも怒ったような口調でボソッと呟いたのはエース君達と一緒にマロンタルトを作ったユウ君だった。
彼の放った言葉に周りはピシッと凍り付き、言われたリー君の背後から黒いオーラが見え始める。


(怒ってる……メッチャクチャ怒ってる！！)


ケイト先輩もリー君のオーラに気付いて慌ててフォローするが、ユウ君の言葉に触発されたエース君とデュース君が食って掛かる。




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