第六十五話 ページ20
「だから、ダメだって言ってるだろう！お客さん、日本語読める？関係者以外立ち入り禁止なの！」
「違います！私はっ」
「何が違うんだ、私はスタッフだとか言うのか？前にもそう言う方法で入ろうとした人がいたけどね、私は騙されないよ！」
かれこれ30分が経ったが、警備員さんは一向に楽屋の場所を教えてはくれなかった。
私を熱狂的なファンやアンチと勘違いしているらしい。
携帯があれば見せつけてやったのに…何処で落としたんだ…
まふから連絡が来ていたら本当に申し訳ない。
しかし、いくら口で戦ったって相手は男性。しかもベテランの警備員さんっぽい。
結局、警備員さんとの攻防は、私の方がぽっきり折れてしまい、途方に暮れてしまうのであった。
これ以上この会場の前でウロウロするのもまた怪しまれそう。
そう思って、私は一旦その場を引き返して、携帯を探すことにした。
きっとさっき会場から出てきたお客さんの波に流されそうになった時に落としたのだろう。
そうやって来た道を戻っているうちに、いつの間にか辺りは暗くなっていて。
携帯も無いのに何処かの町外れに来てしまっていた。時刻も分からない。
そうだよ私方向音痴なんだった…
立ち止まって見回してみても、当然見たことの無い住宅が立ち並んでいるだけ。
仕方なく、その辺を歩いている人に道を訊くことにした。
しかし。そういう時に私はいつもハズレくじを引くのである。
「あの…すみません、東京駅まで行きたいのですが…」
「え？東京駅？んーとね……あー……」
「え、なになにお姉さん、道に迷ったの？」
ちゃんと人は選ぶべきだったと後悔する。
話しかけた相手は年上と思われる男性二人組。
普段キヨに散々罵声を浴びせているが、私はこういう時、それが発揮できないポンコツなのだ。
もう嫌な予感しかしない。
「あ、やっぱり…」
いいです、と断って早急に立ち去ろうとするが、それはいとも簡単に断ち切られた。
「東京駅ねー、俺ら説明すんの下手だからさ、一緒に着いてってあげるよ」
「いや、あの」
「お姉さん、名前は？」
「えっ…と…」
ニコニコと笑う男性だが、頭の中で何を考えているか分からない。
私はそこまで馬鹿じゃないから、その時名前は言わなかったが、後々怖くなって言ってしまうのだった。
「へーぇ、Aちゃんって言うんだ？」
「かわいい名前だねー？」
「…はぁ」
残念ながら、私はそこまで馬鹿だったのだ。
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あ - 「つゆ知らず」ではなく「つい知らず」では？ (2019年11月23日 19時) (
レス) id: a5d39e3f52 (このIDを非表示/違反報告)
お茶丸。(プロフ) - 琴葉さん» コメントありがとうございます！！続き……どうなるんでしょうね！！(考えてない)後付けが得意なのでどうなるやらって感じですが、楽しみにして下さっている方がいるから頑張れるってやつです！私のモチベにも繋がるので、これからも応援よろしくお願いします！ (2018年9月24日 21時) (レス) id: 172c3d86d3 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉 - 続きが楽しみすぎる…！ (2018年9月24日 19時) (レス) id: cc1af6d8b8 (このIDを非表示/違反報告)
お茶丸。(プロフ) - やさん» コメントありがとうございます！！いや、そんなこと言ってくださるとは…ありがとうございます！完結…今のところしそうにないですがいつかしなきゃならないんですよね…(-＿-)頑張ります、応援よろしくお願いします！！ (2018年6月30日 22時) (レス) id: 172c3d86d3 (このIDを非表示/違反報告)
や(プロフ) - はじめまして。夢主さんの自分らしくて可愛いところも、歌い手さん方の優しいところも全部全部ドツボの作品です、、！完結まで待ってます（＾_＾） (2018年6月30日 21時) (レス) id: 8d18ba62e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お茶丸。 | 作成日時：2017年12月26日 10時
