夢への招待 *6 ページ43
坂田さんとお菓子を食べながら談笑をしていると、私のグラスがもう空になっていることに気付き“飲み物の事ならまーしぃに聞いたらええよ”との助言により志麻さんを探す事にした。
フロア全体を見渡し見つけた彼は窓際の椅子に座りワインの入ったグラスを片手に転がしていた。
窓から差し込む赤い月の光が志麻さんを照らし妖艶な雰囲気を醸し出している。
その姿にどう声をかけていいのか分からずただ見ていると
「そんな見つめられたら穴空くわ」
私が声をかける前に吹き出すように笑いながら志麻さんがコチラを見た。流れるような視線で空になった私のグラスを見て察したように志麻さんが話し始める。
「ジュースなくなったんやろ?すまんけどセラーの方にしかストックなかったと思う。ついでに酒追加で持ってきたいから付いてきてくれんか?」
承諾し志麻さんに続いてセラーに移動する。
セラーに到着しお酒を選ぶ志麻さんにお礼のタイミングは今なんじゃないかって思って私は”志麻さん”と名前を呼んだ。
「ありがとうございます。ジャケットを貸してくれて。あと、坂田さんがオーバーヒートした時に対処してくれたの志麻さんだったんですよね。」
「別に大した事しとらんわ。でもそんなに恩感じてくれてんなら”ゴホービ”の一つでも貰いましょうかねぇ?」
ふざけた様に笑う彼に”私にできる事ならいいですよ”と答えると”ホンマに?”と小さく呟いてしばらく考えた後、志麻さんは片膝を立てたままこちらに姿勢を向け真剣な顔で
「…キスしてや、Aから。ココに」
そう言った。
“ココ”と志麻さんが指差すのは彼の唇で、セラーの中という狭い密室で自分からキスをするというシチュエーションに嫌でも心臓がうるさい。
どちらとも声を発さない、静けさの中時間だけが過ぎた。
「なーんてな嘘やって…
ようやく口を開いた彼は諦めた様に嘘だと口にしようとして、それを嫌だと感じた私は彼の言葉を遮るように勢いで唇を押し付けた。
唇はちゅ、と小さく音を立ててすぐに離れる。
目を見開きその場に放心してる彼にジワジワと自分のした大胆な行動を思い出して顔に熱が籠るのを感じる。
「伝えられてよかったです。私先に戻ってます!」
私は羞恥心から彼の返事を待たずにセラーから逃げ出した。
「そんなん…反則やろ…」
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悠永@星点灯ありがとうございます。(プロフ) - 結月。さん» 暖かいコメントをありがとうございます。1章出たての頃から見てくださっているとのことですごく嬉しいです😭途中間が空いてしまったりもしましたがきちんと完結させるつもりなのでどうか3章も引き続き見てくださったら幸いです🙇♀️ (2023年2月7日 10時) (レス) @page46 id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
結月。(プロフ) - コメント失礼致します。2章完結おめでとうございます!!作品ができた当初からいつも更新を楽しみにしておりました。物語の展開もすごく面白くて、大好きな作品です。これからもとても楽しみです。陰ながら応援しております…!! (2023年2月7日 4時) (レス) id: 286dc51d91 (このIDを非表示/違反報告)
悠永@星点灯ありがとうございます。(プロフ) - にやあ確定さん» 当作品初めてのコメントで、作者はとても感激しております!!!更新頻度の事、内容、楽曲の解釈共に褒めていただけてとても嬉しいです…!🥹決して短くない私の小説を読んでくださりありがとうございます。ぜひこれからもお付き合い頂けると幸いです! (2022年12月14日 8時) (レス) id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
にやあ確定 - コメント失礼いたします◎更新頻度が高い上に物語の内容にとても惹かれました...😽何より作者様の楽曲への解釈がとても素敵です‼✨素敵すぎる悪魔執事を書いてくださり有り難うございます😈✨ (2022年12月12日 22時) (レス) id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:悠永 | 作成日時:2022年11月24日 11時