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by桂
本当は次の作戦を練りたいなど完全な嘘である。
ただ、優衣と二人きりで話したい...そう思っただけ。
朱鷺に肩を抱き寄せられた時、これが優衣なら...なんてことを考えてしまっていた。
朱鷺には失礼だが、あの距離感が嬉しいのは優衣だけなのだ。
優衣「...ラ...ヅラ、聞いてる？」
桂「ヅラじゃない桂だ」
優衣は俺の顔を覗きこむ。
“ヅラ“といつものように呼ばれてもの悲しく感じた。
坂本や銀時、高杉は下の名前で呼んでいるというのに。
先程、一度でも“小太郎“と呼んでくれたからだろうか。
“小太郎“という名前で良かったと舞い上がっていたからだろうか。
...結局、少し欲が出てしまったようで。
グイッ
桂「...“小太郎“とは...呼んでくれないのか？」
俺は優衣にかけた羽織の端と端を掴んで優衣を自分の方に向かせる。
少し荒々しい感じもしたが、それほど余裕が無くて。
...名前を呼んで欲しくて。
優衣「...？
“小太郎“って呼んで欲しいの？」
桂「......あぁ
優衣には“ヅラ“より...名前で呼んで欲しい」
自分で言いながら恥ずかしくなって俺は優衣の瞳を直視出来なかった。
名前を呼んで欲しいなんてお願いするのはどうかと未だに思っているが、それでも“小太郎“と呼ばれた時の胸の高鳴りが忘れられない。
...やっぱり優衣のことが大好きなのだと確信した。
優衣「んじゃ...
小太郎...これでいい？」
桂「......っ///
ありがとう」
...この名前で一番良かったと感じた瞬間はきっと今だろう。
だからこんなに顔が火照って、戦乱の世だということも忘れて恋にほおけている。
秋晴れの今日はとても時がのんびり進む気がして。
このまま、ずっと。
──過ごせたら...なんて願ってしまう。
松陽先生
先生は今、何処へ。
先生にもこの景色を見せたいです。
─愛する者の隣で見る紅葉の美しさを
─塀の影から顔を出す帰り花の儚さを
きっと皆で見ればもっと美しい。
...だから、きっと救い出します、先生。
...
...
...
...
...
...
けれどこの頃の俺は知らなかった。
...後にこんなことになるとは。
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夜顔(プロフ) - 神谷さんさん» 作品を読んで下さりありがとうございます！喜んで下さる方がいると考えると、とても私自身の糧となります！！ (2021年8月9日 5時) (
レス) id: a5b9bd8745 (このIDを非表示/違反報告)
神谷さん - 続編だぁ！(喜びの舞) (2021年5月31日 21時) (レス) id: 9406ab1259 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜顔 | 作成日時：2021年5月31日 18時
