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by銀時
雷はいつの間にか鳴り止んでいた。
けれど雷よりも鮮やかな炎に遊郭が包まれていく。
暗闇の中でポウボウと燃える遊郭を幕府の犬達が消火してやがる。
坂本「しっかし...誠にヅラの嫌な予感は当たるきに」
高杉「...確かに」
桂「まさか火事になるとは...」
銀時「...誰かが火を放ったっぽいな」
桂「...優衣が最初に血だらけだったことと関係があるのかもしれない」
皆で本部へと走りながらそんな話になる。
ヅラは...マジでこうなることを嫌な予感として捉えてたってぇのか？
──戦で退き際を指示し、死傷者を最小限にしながらも最大限の成果を挙げる“狂乱の貴公子”──
...やっぱり伊達じゃねぇ。
そう感心しながらも俺は手の中にいる優衣を見つめた。
銀時「っ...」
頬や首は赤く染まっていたが今は応急措置しか出来ねぇことがなんとも虚しい。
...優衣が鬼兵隊を奇襲から守って大怪我を負ったあの時から俺は...
俺は...
怖くて堪らなかった。
腰ぬけだと言われるかもしれない。
けど、もう...
─大切な奴を失うのは嫌なんだ。
心を抉り取られる程胸が苦しくなっちまうのは辛いんだ。
自分の命より...何より、今は──
”優衣”が大切なんだ
だから...俺の気持ちくらい察してくれよ...っ...
ギュッ
優衣の体温を...優衣が手の中にいるという安心感を噛み締めながら優衣の肩を抱き寄せる。
強く抱き寄せたら壊れてしまうくらい脆く、綺麗だった。
銀時「優衣...っ...もういなくならないでくれ...」
俺の呟きが他の三人に聞こえたかどうかは分からない。
けど、それ以降口を開く者はいなかった。
偶然か...否か。
─黒雲が月にかかり、月明かりすら消えゆる暗闇に
─ただ山を登る男達が息を切らして
────ただ一人の女を助けようとしていた。
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夜顔(プロフ) - 神谷さんさん» 作品を読んで下さりありがとうございます！喜んで下さる方がいると考えると、とても私自身の糧となります！！ (2021年8月9日 5時) (
レス) id: a5b9bd8745 (このIDを非表示/違反報告)
神谷さん - 続編だぁ！(喜びの舞) (2021年5月31日 21時) (レス) id: 9406ab1259 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜顔 | 作成日時：2021年5月31日 18時
