愛を生む人 … 48 ページ3
「もういいかな、挨拶も済ませたし帰ろう、宏光」
「うん」
トモが立ち上がり、オレの手を取る
繋いだ手を、雪乃さんが凝視してるように見えた、
「あの…」
その視線に見える感情は、決して好意的なものでは無い、自分からその手を離そうとしても、トモは許してくれなくて…
「どうした?」
「あの…手…」
オレの様子に気付き、トモが雪乃さんに顔を向けた
「まだ、何か?」
トモの質問に雪乃さんは答えず、代わりにオレに向かって口を開いた
「宏光さん、」
「はい?」
「…貴方が身篭ってる子は、本当に智久さんの子なの?」
「え?」
「…身に覚えが…あるのかしら?」
その声音には、問い詰める…というよりは本当に真実を聞きたい、それを声に変えたような気がした、答えようとした時
「ソレはどういう意味ですか?」
苛立った声が、部屋の空気を震わせた
「智久さん…」
「アナタにそんな事を言われる筋合いはないっ!宏光を侮辱することは、私が絶対に許さない!…やはり会わせるんじゃなかった…行くぞ宏光」
「トモ…っ!?」
「いいですか?この子は間違いなく私の子です、私と宏光の子、疑う余地など何処にもないっっ!!」
憤りをそのまま雪乃さんにぶつけるように声を荒らげ、ドアが壊れるかと思う程の音を響かせながら、オレを連れ玄関を出た
最後に振り返った時に見た雪乃さんの顔には、
痛みを感じる程の苦悶の表情が見えた
「トモ…っ、トモ!!」
手首が軋むほど強く握られ、引き摺られるように離れに連れて帰られる、
「トモ…痛いよ…」
そう言うと、ハッと我に返った様にオレを見つめ、「ゴメン…、悪かった」と手を離してくれた
「あの女にあんなこと言わせて、申し訳なかった」
「気にしてないよ、大丈夫…」
そう返すと、トモの腕が掻き抱くようにオレを抱き締めた
「その子はオレの子だ…、あの日、やっと願いが叶った……オレだけの家族、宏光とオレの…」
髪や額に唇で触れながら、そっと手をお腹に添える…、、そして着ていたシャツの裾をたくし上げるようにしながら、肌に触れてきた
「トモ…」
「ゴメン…最後まではしない…、触れるだけだから…」
少し冷たくて大きな手が、背中から胸の素肌を滑るように撫でてくる
艶のある眼差しがオレを捉え、直ぐにキスが降ってきた
「…ン、…フ……ッア……」
「好きだよ…、早く家族になりたい…」
絡みつく声と熱い吐息は、オレを再び鍵のかかった籠へと追い込んで行った
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GAYASAKURA(プロフ) - まいまいさん» 思います、数ある書き手様の中から見つけて下さり本当にありがとうございます!ご縁を頂けて嬉しいです! (2020年8月5日 21時) (レス) id: a6c9395ed2 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - まいまいさん» こんばんは!連コメありがとうございます!長々と引き伸ばしておりますが、少しでも楽しんで頂けてたら何よりです!えち展開もありますが、サラッと流して頂ければと思います、《I wish》や《雪華》も似たような展開なので、またお時間ある時にお越しいただければと (2020年8月5日 21時) (レス) id: a6c9395ed2 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい(プロフ) - 皆川が怪しくて気になりますが、ついに2人が一緒に暮らせるようになったので大満足です!!そしてニカも。2人が結ばれるところを早く読みたい〜HEATの宏光と太輔が楽しみすぎます!! (2020年8月5日 20時) (レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - pochiさん» また読み手様の失笑を買いそうです笑笑、ある程度纏まったら触りだけアップしたいと思います!コメ大感謝です! (2019年6月11日 19時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - pochiさん» 移行になりました!6章ほ100作目になるので、ココで家族にしてあげたいんですが、どうかなぁと言うところです、ホントに書きたいのは、家族になってからなんですけどねー笑、引っ張りすぎたなぁと反省しております、次作も考えておりますが、これも長編になりそうで (2019年6月11日 19時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:GAYASAKURA | 作成日時:2019年5月5日 2時