愛を彷徨う人 … 3 ページ18
「…エゴにも程があるわね、…信じられない…」
怒りを含んだ眼差し、そして心底呆れ果てたと言わんばかりの言葉が、オレに向けられる
姉のユリアが、ここまでオレに対して怒りを顕にしたのを見たことがなかった
それでも…、求め続けた家族のカタチが崩壊し、
オレはもう自分の心を制御できないトコロまで追い込まれていた
「このまま真実を伝えることもせず、無理やり番にして傍に置いておくつもりなの?無茶よ!!あの子は私達の弟なのよ!?そんなコト許されるワケがない!!」
「番じゃなくても構わない!どんなカタチでもいいんだ…宏光が傍にいてくれさえすれば、オレはそれだけでいい!!」
初めて会った時から、澄んだ瞳に魅せられ、無垢な笑顔に惹かれ、長い時間の末にやっと、この腕に抱き寄せることが出来た
心を繋げ、共に未来を歩けると信じていたのに…
「愛してるんだ…、宏光を」
幾度も口にした言葉を再び紡いだとき、ユリアが小さくかぶりを振った
「…違う…」
「何が違うんだよ」
「智久、アナタが愛してるのは北山くんじゃない…自分自身よ…」
何もかも悟り切ったように呟かれた言葉に、オレはカッとなりユリアに詰め寄った
「何が言いたいッ!?」
「言葉通りよ…、北山くんを愛してると言いながら、本当に大切なのは自分だけ、欲しいのは心じゃない…、家族愛に飢えた自分を満たしてくれる人…たまたまそれが、オメガの北山くんだった…」
「オレが宏光を利用しただけだって言うのかっ!!」
「ええ、そうよ!本当に大切な人なら、どうしてあんな哀しい顔ばかりさせるの!?智久…アナタは北山くんの、心からの笑顔を見たことがあるの?、愛しさに溢れた眼差しを向けられたコトがあるの?無いでしょう?」
ユリアの言葉が、一直線にオレの胸を穿いていく…
オレの知ってる宏光は、抗うことを諦めたような寂しげな笑顔を浮かべていた
黒い瞳はオレを通り抜け、その先にある何かを見つめていた
「アナタが本当に北山くんを心から大切に思うなら、一番北山くんらしく生きていける場所に戻してあげなさい…、その場所が何処なのかは、アナタが一番よく分かってるはずよ、」
それは…
君想橋で見た、宏光の穏やかで優しい…幸せそうな笑顔を思い出した
「…藤ヶ谷の元に、戻せというのか?」
「そうよ…、北山くんが本当に帰りたい場所は、太輔がいる所…、見てればわかる、あの二人は、お互いがお互いの為に存在してる…《運命の半分》だから…」
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GAYASAKURA(プロフ) - まいまいさん» 思います、数ある書き手様の中から見つけて下さり本当にありがとうございます!ご縁を頂けて嬉しいです! (2020年8月5日 21時) (レス) id: a6c9395ed2 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - まいまいさん» こんばんは!連コメありがとうございます!長々と引き伸ばしておりますが、少しでも楽しんで頂けてたら何よりです!えち展開もありますが、サラッと流して頂ければと思います、《I wish》や《雪華》も似たような展開なので、またお時間ある時にお越しいただければと (2020年8月5日 21時) (レス) id: a6c9395ed2 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい(プロフ) - 皆川が怪しくて気になりますが、ついに2人が一緒に暮らせるようになったので大満足です!!そしてニカも。2人が結ばれるところを早く読みたい〜HEATの宏光と太輔が楽しみすぎます!! (2020年8月5日 20時) (レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - pochiさん» また読み手様の失笑を買いそうです笑笑、ある程度纏まったら触りだけアップしたいと思います!コメ大感謝です! (2019年6月11日 19時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - pochiさん» 移行になりました!6章ほ100作目になるので、ココで家族にしてあげたいんですが、どうかなぁと言うところです、ホントに書きたいのは、家族になってからなんですけどねー笑、引っ張りすぎたなぁと反省しております、次作も考えておりますが、これも長編になりそうで (2019年6月11日 19時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:GAYASAKURA | 作成日時:2019年5月5日 2時