愛を彷徨う人 … 2 ページ17
「姉さん…?ココで何してんだよ…」
深夜…日付けが変わってから数時間、待ちくたびれウトウト仕掛けた私は、リビングのドアか開く音と智久の声で目を覚ました
「それはコッチのセリフ、智久…アナタこんな時間まで何処にいたの?」
「いいだろ別に…」
四宮くんから、智久が術後全く病室に顔を出さない、電話にも出ないと言う話を聞き心配になった私は、留守を承知で智久の自宅を訪ねた
事前にTELをすれば、理由を付けて断られることを予想し、私は連絡無しで長い間訪れる事の避けていた実家に足を向けた
智久は、あからさまに面倒くさいと言う表情を作り、すぐさま私に背を向けた…、部屋に戻りかけたその腕を引っ張り私の方に向かせると、片眉を上げ、睨み付ける様に私を見返してきた
「なに?」
「…アンタ、まさかお酒飲んでるの?」
息遣いにアルコール臭を感じ、私は智久を問いただした
「いいだろ別に…勤務後の行動まで姉さんにとやかく言われる筋合いないと思うけど…」
「術後の北山くんを病室に一人ぼっちにして、よくそんなコト出来るわね、気が知れない!!」
怒りが込み上げ怒鳴りつけた私に、智久は小馬鹿にした様に鼻で笑った
「四宮の病院は24時間体制だ、別にオレが行かなくても、宏光の一日は終わる」
「何を言ってるの?今一番辛い思いをしてるのは誰だと思ってるのっ!、体の痛みと心の痛み両方抱えて…北山くんがどんな思いで毎日を過ごしてるか、アンタが一番よく分かってるでしょう!!」
智久の返事に私は激怒し、二の腕を掴んで問いただした
「オレ達のコトはほっといてくれ、姉さんに言われることじゃない」
「智久、アンタ自分と北山くんが兄弟だってこともまだ伝えてないんでしょう?まさかこのまま黙ってるつもりなの!?」
雪乃さんが伝えたのは、赤ん坊の時に連れ去られた事とオメガ故に探せなかったということだけで、智久との事を明らかにする前に、北山くんか倒れてしまったと言っていた
彼は、今も自分の身体が原因で子どもを失ったと思ってる…、その事が北山くんをこれ以上無いほど深く傷付け、今もその傷から血を流し続けていた
見舞う度に線が細くなっていく北山くんが、私は心配で堪らなかった、そして同時に、現実と向き合えず葛藤してる智久の気持ちも、手に取るように理解出来た
この二人が前を向いて生きて行く為には、どうしてやればいいのか…
「伝えたら…宏光はきっとオレから離れていく…、そんなの、耐えられない…」
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GAYASAKURA(プロフ) - まいまいさん» 思います、数ある書き手様の中から見つけて下さり本当にありがとうございます!ご縁を頂けて嬉しいです! (2020年8月5日 21時) (レス) id: a6c9395ed2 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - まいまいさん» こんばんは!連コメありがとうございます!長々と引き伸ばしておりますが、少しでも楽しんで頂けてたら何よりです!えち展開もありますが、サラッと流して頂ければと思います、《I wish》や《雪華》も似たような展開なので、またお時間ある時にお越しいただければと (2020年8月5日 21時) (レス) id: a6c9395ed2 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい(プロフ) - 皆川が怪しくて気になりますが、ついに2人が一緒に暮らせるようになったので大満足です!!そしてニカも。2人が結ばれるところを早く読みたい〜HEATの宏光と太輔が楽しみすぎます!! (2020年8月5日 20時) (レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - pochiさん» また読み手様の失笑を買いそうです笑笑、ある程度纏まったら触りだけアップしたいと思います!コメ大感謝です! (2019年6月11日 19時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - pochiさん» 移行になりました!6章ほ100作目になるので、ココで家族にしてあげたいんですが、どうかなぁと言うところです、ホントに書きたいのは、家族になってからなんですけどねー笑、引っ張りすぎたなぁと反省しております、次作も考えておりますが、これも長編になりそうで (2019年6月11日 19時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:GAYASAKURA | 作成日時:2019年5月5日 2時