愛を売る人 … 19 ページ20
「健気なΩって?」
オレが来るまでに既に半分開いてたワイン、白身魚のカルパッチョとアクアパッツァを肴にユリアは一本飲み干す勢いで、グラスのワインに口を付けた
「抗わないの…、何もかも全部受け入れて、ただ時間が過ぎていくのを待ってる、、幼い頃からそうやって生きていくしかなかったんだろうね、…大きくて澄んだキレイな瞳を、時々ソラに向けて、見えない何かを探そうとしてる、ホントにね、切ないのよ、…見てる方が…」
ユリアは、まるでその光景を今目の前で見てるような物憂げな表情を浮かべた
自他ともに認める《サバサバ系anego》のユリアが、こんな顔するなんて珍しい、よっぽどそのΩに心惹かれてんだろうな…
「ふーん、でもまぁ、そりゃΩなら仕方ないだろ…、生まれ持った性種だし、変えらんねぇしな…」
Ωは繁殖に特化した性種だから、社会的地位はかなり低い…数も少ないという事で、差別の目を向けられることが多かった
「でもお前んトコに来るって、かなり高額だろ?Ωなのによく払えるな」
「その子店のNo.1だからね、店側の依頼」
「あー…やっぱそか…」
おミズか…だよな
「いんじゃねぇの?オレなんか天下無敵のαサマとして生まれたのに、なんの因果かこんなおシゴトしてるし、…ホント、逆にΩなら納得いくのかも知んないけど…」
って自虐ネタのつもりが愚痴を吐いてしまって、オレはハッと我に返った、ユリアは少しだけ表情を変えたけど、直ぐに華やかな笑みを浮かべた、そして飲み干したグラスをオレに渡し、ワインのビンを手に取った、
「太輔も飲みなよ、あと2本追加しよかな」
「オマエな、このワイン一本20万だぞ、色々大丈夫か?」
「いいわよ、お金ならたーんとあるから!…逆に言えばそれしかないんだけど…」
「ユリア…?」
「αでもΩでも、欲しいものはきっと一つだけ…」
呟くユリアの視線は、見えない何かに向けられていた
ユリアが惹かれてるΩも、きっとソラを見上げて今のユリアと同じ顔をしてたんだろう…なぜだか、そう思った
「よし飲もう!太輔、どっちが潰れるまで勝負よ!」
「やだよ勝てねぇって!オマエザルだし」
「アンタが弱すぎんのよ!αのクセにw」
「いや、これはαは関係ねぇだろ!」
ユリアがここまで気を向けるなんて、ある意味かなりのハイスペックΩなんだろう、
この時点で、オレはユリアのスペオキΩはてっきりオンナだと思っていた…
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GAYASAKURA(プロフ) - こっちゃんさん» 機会があれば書いてみたいと思います!コメ大感謝です! (2019年2月9日 19時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - こっちゃんさん» 連コメありがとうございます!ですよねー特にみっくん笑、実際の男子高校生はまだ幼さがありますが、ハマってるのは間違いない笑、でも先生もいいんだよなぁ…、雪華でどっちも書いたな、と懐かしく思いました、学園モノは書いてても楽しいので、樹ちゃんとのエピも (2019年2月9日 19時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
こっちゃん(プロフ) - 樹ちゃんからの手紙を読む場面は何回見ても泣けてきます。30過ぎると、高校生役って違和感を感じるのに、キスマイは違和感がないのは何なんだろう。特に藤北は… 学園ドラマ出られそうな程に自然に見える(^^; 樹ちゃんと幼馴染と藤北の恋 良いかもです。(^-^) (2019年2月9日 17時) (レス) id: 09c99e26a2 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - こっちゃんさん» エイベたんの《樹エピ 》にまた違うお話浮かびそうで、想像蹴散らしてます、もう掛け持ちはムリ笑、コメ大感謝です! (2019年2月9日 12時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - こっちゃんさん» ホントなのかわかんない笑、勿論アルバム&魂は今か今かと期待しております!とりあえずオリコンの結果がドキドキ…そしてトラさん、Mステ…あーもぉ有りすぎて幸せな困り方笑、お話はかなりheavyな展開になるかもです、ヤバいな…宜しければ続き覗いて見て下さいねー! (2019年2月9日 12時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:GAYASAKURA | 作成日時:2018年12月29日 18時